幼児教育も「子ども主体」に舵、待機児童問題を経て幼稚園・保育所も質の時代に 非認知能力の重視は全国的なムーブメントに

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非認知能力を養うには、遊び中心の子ども主体のほうがいい

――2017年には小学校の学習指導要領も改訂され、「主体的・対話的で深い学び」を目指すことが示されます。「ゆとり教育」の批判から再び学力偏重となった学校教育を子ども主体に戻す動きだと思いますが、そこに幼児教育も連動したということでしょうか。

タイミング的には重なってはいますが、幼児教育では小学校とは違い、遊びや子ども主体の保育が大事だとする動きはずっとありました。また文字の読み書きなどの早期教育的なことの効果が疑われていたことに加え、「非認知能力」が重要であることが研究で明らかにされました。

非認知能力を提唱したのはアメリカの経済学者であるジェームズ・ヘックマン教授で、その重要性が日本でも急速に理解されていきました。それは学力やIQなどの認知能力に対して、意欲ややり抜く力、思いやり、感情のコントロール、自尊心、コミュニケーション力など、心や社会性などの側面です。社会情動的スキルともいわれます。

予測不可能といわれる未来を生き抜いていく子どもたちには、この非認知能力のほうが大事だとの認識は広まってきています。非認知能力が大事だという認識は、社会的なムーブメントになっています。その非認知能力を養うには、遊び中心の子ども主体のほうがいいわけです。

――「遊びは勉強とは正反対のもの」というイメージが強くて、そんな遊びが中心の子ども主体を心配する保護者も多いのではないでしょうか。

遊びというものが、とても誤解されています。遊びは単なる余暇、ゲームや暇つぶしと理解されがちですが、まったく違います。

遊びをとおして人、モノや自然、文化や社会とのかかわり、知的な好奇心といった、子どもの豊かな学びにつながっていることが発達研究でもあきらかにされています。しかも、幼稚園や保育所などにおいてプロの保育者は、子どもの興味関心を大事にしながら、何日も続くような遊びの発展を生み出すような援助をしています。

例えば、飛ぶロケットを作る活動を数カ月にもわたって協働的に行ったりしています。そういう取り組みが、小学校以上でも求められている「主体的・対話的で深い学び」につながります。

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