ただし、大径タイヤを組み込んだためもあり、最低地上高は185mmとセダンの135mmより50mmも増えた。フロアも高めで、乗り降りにはステップを要する。こうした部分を指摘されて、SUVと言われるのは仕方のないことだ。
ショーファーカーにこだわるなら、英国生まれの2台も装備するエアサスペンションを用い、停車時には自動的に車高を下げるなどの仕掛けがあったり、フロア構造を工夫して「ジャパンタクシー」並みの乗降性を提供したりしても良かったのではないだろうか。
セダンと大きく違うのはフロント/リアまわりで、灯火類は前後とも上下2段になり、片側4灯ずつのランプを埋め込んだ。センチュリーならではの品格を大事にしつつ、威厳や風格を加えたとのことで、バンパーを含めてかなり力強い印象だった。
ショーファーカーならではの室内
インテリアでまず目が行くのは、やはりリアシートだ。センターコンソールで隔てられたセパレートであり、背もたれは休息時のために最大77度まで倒れるほか、座面チルトやオットマンなど、多彩なアレンジを実現。荷室との間に隔壁を設け、快適性を高めている点も特徴だ。
操作系では、セダンも装備していたフロントシート間のタワーコンソールのほか、アルファード/ヴェルファイアのそれに似た、スマートフォン風のタッチ式コントローラーも用意される。
それに比べてインパネがシンプルに見えるのも、ショーファーカーならではの仕立てで、リアシートで過ごすオーナーが煩雑に感じないことを第1に考えたためという。インストルメントパネルを水平基調として、スイッチ類はなるべく下のほうに集めたとのことだった。
エンブレムは彫金加工とし、塗装は色塗りと3回の水研ぎを行う4工程で、バンパーなどの樹脂部分も磨き上げを入れるなど、ディテールへのこだわりも特筆できる。このあたりは、国内以上に海外市場で評価されるのではないだろうか。
ちなみにセンチュリーという車名は、初代が豊田佐吉の生誕100周年にあたる1967年に発表されたことにちなんでいる。現行セダンがデビューしたのは2018年だから、56年間で2回しかモデルチェンジしていない。
それがわずか5年で新しいモデルを出してきた理由の1つに、現行セダンと同じ年にカリナンがデビューし、3年前に登場していたベンテイガにPHEVが追加されたことは無関係ではないだろう。
カリナンもベンテイガも、そこにマーケットがあるから生まれた。読みは成功しており、後者は昨年のベントレーの販売の4割以上を占めている。センチュリーをグローバルカーとして、そしてブランドとして進化させていくのに、このボディは必然だったと思っている。
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