よくあるストレス解消法、効果感じられぬ納得理由 むしろストレスをためる結果になることも

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例えば、職場で上司に怒られたことをかなりつらく感じる人もいれば、そんなに気にせずに気分への影響もない、という人もいます。

また、世間的には喜ばしいと考えられていることが、その人にとってはストレスに感じる場合もあります。会社で昇進をしたけれど責任感が強まったことが余計にプレッシャーになる、結婚をしたけれど新生活への不安から気分が落ち込む、いわゆるマリッジブルーなどもその例です。

こうした心理的なストレスは受け取り方が人によって異なりますし、物理的なストレスからの影響もすぐには現れるものではありません。そのため、誰にでも効く、即効性のある対処法はないのですが、まず意識してほしいのはストレスの元になっていることに対処すること。

ストレスは刺激そのものではなく、刺激によって起こる変化。つまり原因になっている刺激にアプローチすることが大切なのです。これを「ストレスコーピング」といって、たまってしまったストレスをスムーズに解消することも、ストレスコーピングに含まれます。

つまり、ストレスの対処には、第一に入ってくるストレスをなるべく減らすことと、たまったストレスを早めに解消することの両方を意識することが大切なのです。

ストレス解消法が、かえってストレスに!?

自分ではストレスや疲れを解消するつもりの行動であっても、それがあまり効果的ではないことや、かえってストレスを増やしてしまうことはよくあります。ネットや雑誌、書籍に載っているさまざまな「ストレス解消法」も、それが本当に効果的かどうか疑わしいものもあります。

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『ケーキ食べてジム行って映画観れば元気になれるって思ってた』(WAVE出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

だからこそこの本では、誤った情報や自分に合わない方法によって振り回されないように、ストレスの正しい知識と、より効果的なストレス解消法をお伝えしたいと思います。

うまくストレスと付き合うために大切なことは、次の2点です。

・できる限りストレスをためないこと

・適切にストレスを解消すること

ストレスについて理解し、なるべくためない環境をつくって、仮にストレスをためてしまっても適切な対処法を実践できるようになれば、より快適な生活を送れるはずです。

そしてこの本に書いてあることがすべてとは思わず、これをヒントに自分に合った対処法を探してみてください。

メンタルドクターSidow 精神科専門医

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めんたるどくたーしどう / Mental Doctor Sidow

精神科医として働くなかで、世間の精神疾患に対する偏見や誤解の解消、精神科への早期受診の必要性を実感し、SNSで精神科の情報発信を始める。なじみやすさと分かりやすさを重視した精神科に関する発信が精神疾患を持つ人に限らず話題となり、YouTube、ツイッターなどのSNS総フォロワー数は10万を超える。YouTubeの注目するクリエイター「YouTube NextUp 2019」の日本代表にも選出。著書に『メンタルドクターSidowが教える人間関係も仕事も「しんどいこと」をリセットする方法』(大和書房)『精神科医が教える疲れた心をスーッとほぐす方法 焦り、心配、イライラがみるみる消える』(KADOKAWA)など。

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