新型モデル3の外観は、2021年に大規模マイナーチェンジを実施した「モデルS」に近いデザインが採用された。キャビンには後席の搭乗者用の多機能ディスプレーを増設。防音ガラスや静音タイヤを採用して静寂性を高め、小幅ながら航続距離も延長された。
だが、テスラ車の外観とインテリアに共通するミニマリスト志向のデザインは、マイナーチェンジ後のモデル3でも一貫している。これは、(押し出しの強い見た目や豪華さを好む)中国の消費者の嗜好とは必ずしも合致しない。マイナーチェンジ前のモデル3のキャビンは、一部の消費者の間で「がらんどう」と呼ばれていたほどだ。
しかも、モデル3はアメリカで発売されてから6年余り、中国で現地生産が始まってから3年半余りの間、大がかりな変更が施されていなかった。それだけに、今回の大規模マイナーチェンジに対する中国の消費者の期待は大きかったが、肩透かしに終わった格好だ。
消費者のテスラ離れ招くリスクも
中国の自動車市場では、中国政府がEVの普及促進のために支給していた補助金を2022年末で打ち切ったのをきっかけに、メーカー間の価格競争が激化している。そんななか、テスラが新型モデル3の値上げに踏み切った意図について、多くの業界関係者が「市場シェアを維持できるのか」と首を傾げている。
自動車向けソフトウェアの開発を手がけるある中国企業の幹部は、財新記者の取材に対して次のように述べた。
「都市部の交通渋滞が激しい中国では、ドライバーや同乗者がクルマの中で過ごす時間が長い。そのため多くの人々が、車内空間に自宅やオフィスと同じような快適さを求めている。中国の消費者はとりわけ(ハイテク技術満載の)スマート化されたキャビンを重視する傾向があるが、テスラはそこにあまり注力していないようだ」
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は9月2日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら