セブン&アイ「池袋西武ストライキ」で深まる溝 9月1日のそごう・西武売却に向け交錯する思惑

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しかしながら、セブン&アイHDとそごう・西武労組間の労使協議はまだ妥結していない。百貨店の事業継続やそごう・西武社員の雇用維持に関する協議がまとまらないままでセブン&アイHDが売却を決議すれば、そごう・西武労組はストライキに踏み切る構えだ。

セブン&アイHDは2006年に、そごう・西武の前進となるミレニアムリテイリングを2000億円超を拠出して子会社化。だが、コンビニやスーパーのように低価格で食品などを提供する小売業と、高付加価値サービスが売りである百貨店業の両立は容易ではなかった。百貨店業界の構造不況も追い打ちをかけ、そごう・西武の業績は不振が続いていた。

そごう・西武は2019年2月期に最終利益で3.3億円を出したのを最後に、近年は前2023年2月期まで4期連続の最終赤字を計上している。

ハードルの高い買収案件

業績不振にとどまらず、そごう・西武は多額の負債を抱えていることもセブン&アイHD内で問題視されている。そごう・西武のバランスシートに計上されている流動負債は2996億円(2023年2月末時点)。そごう・西武の幹部によれば、「約3000億円の負債のうち、1000億円程度はセブン&アイHDがそごう・西武に貸し付けている」という。

そごう・西武を買収するには、買収金に加えて約3000億円の負債を背負うことになる。ハードルの高い売却案件であり、フォートレスが提示した2000億円超で買収するという条件は魅力的だった。

だが池袋西武へのヨドバシカメラ出店をめぐり、労組のみならず、地権者である西武ホールディングスや豊島区との調整に難航したことで、泥沼にもつれこんでしまった。通知された池袋西武のストを目前に控え、神経戦が続く。日本の小売業で異例のスト実施となるか。そごう・西武売却の行方は混迷を極めている。

山﨑 理子 東洋経済 記者

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やまざき りこ / Riko Yamazaki

埼玉県出身。大学では中国語を専攻、在学中に国立台湾師範大学に留学。2021年東洋経済新報社に入社し、現在小売り・アパレルを担当。趣味はテレビドラマのロケ地巡りなど。

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