K-POPの次はコレ!「韓流学習」ブームの最前線 韓国発の科学マンガが世界でベストセラーに
韓国の受験は日本よりも過酷なことで知られている。子どもたちは放課後の自由時間がほぼないという多忙ぶりだ。
一方、日本でもまだ高学歴志向はあり、小学生から塾通いをさせる家庭も多い。
前出の編集担当は、
「『このマンガのおかげで、理科が大好きになりました』という声も届いています」
と話しつつ、昨今の“理科離れ”も人気の背景にあるのではないかと指摘する。
「テクノロジーが急速に広がっている中、科学技術の発展を担う理系人材の育成が課題となっています。
しかし、経済産業省が公表した『未来人材ビジョン』によると、『理科を使う職業につきたい』という中学生は国際平均57%に対し、日本では27%と低くなっており、日本は探究的な(正解のない)理科学習が少なく、子どもたちが『科学の楽しさを感じる』機会に乏しいのではないかと分析されています」(マガジンハウス編集担当、以下同)
日本でも科学の楽しさを伝える学習マンガが求められて、ブームになっているのかもしれない。
楽しさを伝えるという意味では、『つかめ!理科ダマン』は他の科学マンガとは違う特徴がある。
ウェブトゥーンで29億PVを誇るヒット作
「もともとウェブトゥーンで’09年から連載されていた『離さないで!精神線』という日常系ギャグマンガがありました。若い世代を中心に29億PVを誇るヒット作。そこに学びの要素を入れ児童向けの書籍として制作されました」
ウェブトゥーンとは“ウェブ”と英語でマンガを意味する“カートゥーン”を組み合わせた造語で、韓国発のデジタルマンガ。
作品が縦スクロールで展開し、全編カラーというのが大きな特徴だ。コメディー、ラブストーリー、ファンタジーまでさまざまなジャンルの作品があり、Netflixなどでは『梨泰院クラス』のように、ウェブトゥーン原作のドラマ化が増えている。
『つかめ!理科ダマン』を出版した韓国の大手出版社WisdomHouseの編集担当に、なぜウェブトゥーンをもとに出版したのかを聞いた。
「2009年に韓国のプラットフォーム『Naver』でウェブトゥーンが連載されました。10代のユーザーにすでに人気があり、10年も連載していた時点だったのでファンも確保されている状態でした。当時、ウェブトゥーンが書籍化されることも多く、それも好評だったため、この“ファン”のための本を作ってみようと思いました」