高すぎる日米の「株価崩壊」がゆっくり進んでいる 今後の日経平均株価は下落加速の局面を警戒

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さらに、2日に同国財務省が8~10月の国債発行計画を発表し、その金額(定例入札分で1030億ドル)が5~7月期(同960億ドル)よりも多かったため「債券の需給悪化が追加で悪材料視された」との見解も聞く。

しかし、これもおかしい。財務省は5月いっぱいまで、債務上限の引き上げを巡って議会でドタバタ劇が演じられていた間、すでに連邦債務が上限に突き当たっていたため、国債を発行できず、預金を取り崩すなどして、やり繰りを続けていた。

したがって、債務上限の凍結が決まった後、一気に財務省が資金を手元に取り戻そうとして国債を増発しそうなことは自明であり、驚きであるはずがない。実際、すでに国債発行計画の発表前には、主力メディアから「財務省が発行総額を増額する」との観測記事が流れていた。

それでもアメリカの株価指数が、国債格下げの報に影響を受けたのは、株式市場が「アメリカは景気も強いし、足元の企業収益も予想より良いし、連銀はどうせ金利は上げないだろう」と、いいところ取りに走り、現実に存在する、あるいは確実に予期される投資環境の悪化を、ことごとく無視して株高を演じていたからだ。

現実無視のアメリカ市場は突然崩壊するリスクも

その楽観の行きすぎも、同国の企業収益面から推し量ることができる。市場が「予想より良いので株高材料だ」と騒いできた4~6月期の決算実績はどうだったか。

調査会社のファクトセットの集計によれば、S&P500種指数採用銘柄の1株当たり利益前年比は、3.6%減益で着地した模様だ。減益という「現実」を軽視しての株高騒ぎとなったため、結果として先週末のS&P500指数の予想PER(株価収益率)は19.1倍と、通常のレンジである15~18倍を上に突き抜けて、明らかに割高だとの信号を発している。

国債の格下げや国債の増発に関しても、「少し前までありえなかったものがいきなり表れた」ということではない。すでに存在している投資環境の悪化を、まったくなかったことにして株高に走っていたが、「存在しているものはやはり存在した」というだけで、今回は「市場が勝手にうろたえたのだ」と解釈できる。

こうした砂上の楼閣の上に楼閣を重ねたアメリカの株式市場においては、今後も大した悪材料でないものが表れても、もしくは何の材料もきっかけもなくても、突然激しく株価が崩壊する展開もありうる。暗闇の中で崖に向かって進んでいくと、どこが崖であったかは、落ちてみるまでわからない。

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