ネスレ「バリスタマシン」価格設定の気になる裏側 「100円の壁」を越えたキットカットのアイデア

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「価格支配力」を、ネスレはどのようにして獲得したのか(写真:HiroS_photo/PIXTA)
インフレ、増税、円安、リセッションがニュースで報じられる昨今、「価格と利益」について、誰もが一度は考えたことがあるのではないでしょうか。最近、最も世間を騒がせた話題は「卵」の高騰でした。
価格支配力とマーケティング』の著者、菅野誠二氏は「自由に価格が設定できて、しかもお客さんが喜んで買ってくれるような、ハッピーな値付けが実現できたら夢のようではないか」と話します。
この記事ではネスレの例から、複合的なマーケティング・イノベーションによって「価格支配力」を獲得した同社のマーケティングを紹介します。

世界ランキング23位のネスレ

2022年、ネスレ(本社:スイス)は時価総額が約3763億ドル(約54兆4700億円)で世界ランキング23位。トヨタは約2808億ドルで31位*なので、それよりも高位である。

売上は約940億スイスフランで、日本円にして13兆3864億円(2022年末スイスフランレート:144.77円)で、昨年対比で8.4%増加。その内訳は販売数量が昨年対比+0.1%に過ぎず、値上げ分が8.3%寄与、そして営業利益率は17.1%を誇る。

特筆すべきは、コロナ禍による原材料の高騰を価格転嫁することに成功し、かつ販売数量を減らしておらず、むしろ微増させている点にある。まさに価格支配力を有する優良企業といえよう。

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