プーマ出身CEOが語る最高峰「ハーレー」の魅力 限定生産、549万7800円からの旗艦2モデル投入

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「ストリートグライド」「ロードグライド」はハーレーの中でも大型高級モデルである。その中でも、特別なエンジンを搭載し、装備の仕上げにもこだわった限定生産シリーズの「CVO(カスタム・ヴィークル・オペレーションの略)」から新型を導入した理由は何だったのか。

「CVOがラインナップの中でも最高峰のモデルだからだ。デザインやサウンド、ペイントなどの製造品質。すべてにおいて私たちの実力を注ぎ込んだものを、新世代のハーレーとしてまず見せたいと思った。ハーレーの伝統に沿っていながら技術革新性を盛り込み、リラックスして乗れると同時にとてもダイナミックでもある。日本市場は多少景気に不安を抱えている方が多いように思われるが、長期的にはポジティブだと考えている。新型CVOの投入により、われわれはプレミアム・ビッグバイクのセグメントにおけるリーダーシップを存分に発揮できる」

新型「ミルウォーキー エイトVVT 121」エンジン。低速からの力強さがさらに高まっており、燃費も向上している(写真:ハーレーダビッドソン ジャパン)

ハーレーといえば空冷エンジンのイメージが強い。新しいフラッグシップ・モデルも空冷エンジンを継承することになったが、一般に環境対応が難しいとされる空冷エンジンは、ハーレーにおいて今後も受け継がれていくのだろうか。

「重要なのは形式ではなくデザインとフィーリングだ。メカニズムが空冷かどうかにかかわらず、ハーレーダビッドソンらしいデザインとフィーリングをこれからも残していく」

電動バイクは別企業・別ブランドで展開

インタビュー会場の片隅には、ハーレーダビッドソンから2021年12月、企業としてもブランドとしても独立した電動バイク「ライブワイヤー」がさりげなく置かれていた。ツァイツ氏はハーレー社とライブワイヤー社、両方のCEOを務めている。ライブワイヤーの車体の一部にはバッテリーを冷却するためと思しき分厚いフィンの数々が刻まれているが、これは空冷ハーレーへのオマージュなのだろうか。

「ライブワイヤーはハーレーダビッドソンと別にニューヨーク株式市場に上場している。そことからもわかるようにまったく別のブランドとして、差別化を図っていく。電動バイクはまだまだ発展の黎明期にあると考えており、ライブワイヤーはそのパイオニアとして世界をリードする位置づけにある。ハーレーダビッドソンが1903年にモーターサイクルのパイオニアであったことと同じだ」

続いて、ツァイツ氏個人の経営者としての側面にフォーカスしてみよう。プーマで長くCEOとしての実績を重ね、財団運営など経歴豊富な彼が、多くの選択肢の中から、ハーレーのCEOという道を選んだきっかけは何だったのだろうか。

「私はプーマにいる20年以上の期間で、経営者として達成すべきことはすべて成し遂げたと思っている。それゆえ、別の企業でまたCEOを務めたいという考えはなく、むしろそれ以外の活動に目を向け、アートや環境、動物保護、サステナビリティなどに取り組んできた。その傍らでハーレーの取締役を務めていたところへ、『前任者が退任するから、暫定的にでもCEOを引き受けてくれないか』と頼まれた。ハーレーダビッドソンからそう言われたら、ノーとは言えない。長期化はしないと思っていたが、いざ着任するとしなければならない仕事が山積してなかなか片付かない。だからいまでもCEOを務めている」

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