日本製車両が活躍「ドバイの鉄道」知られざる進化 世界有数の自動運転路線、人工島にモノレール
パーム・ジュメイラ・モノレールは羽田空港へのアクセス交通である東京モノレールなどと同じ跨座式で、実際に乗ってみると日本のモノレールとどこか雰囲気が似ている。それもそのはず、日立製作所の跨座式技術を採用しているからだ。
モノレール敷設プロジェクトは2005年、総合商社の丸紅がフルターンキー契約で受注。日立製作所が車両、信号設備、通信、変電、ホーム柵、車両基地機器を供給し、日本信号が信号、オムロンが自動改札機と券売機をそれぞれ受注した。そして土木と建築は大林組と、いわば「オールジャパンチーム」によってプロジェクトに当たった。
発注者はナキール(Nakheel)という現地の政府系不動産業者で、同社はモノレールの途中駅にショッピングモールを運営。「デパチカ」と称した日本食を扱うフードコートがあり、その案内がモノレールの行き先看板にも記されている。
日立は2006年12月、3両編成のモノレール車両4編成を受注。山口県下松市の同社笠戸事業所で製作し、ドバイへと運んだ。無人運転だが、乗客の大半が観光客という事情もあり、車内や各駅にはスタッフを配置して対応している。
特徴ある交通機関は観光資源にも
ドバイの公共交通の運賃システムは、メトロとトラム、市内バスは共通化されており、1日乗車券で共通利用できる。トラムにも上級車両のゴールドクラスが設けられているのがユニークだ。ただ、モノレールだけはこの運賃システムから外れており、別途チケットの購入が必要となる。とはいえ、モノレール自体が観光要素の高い乗り物となっており、車窓からはドバイが世界に誇る豪華リゾートの姿を望むことができる。
埼玉県より少し広い程度のドバイにおいて、軌道系の公共交通網はこの十数年で急速に発達した。冒頭にも述べたように、日本ではドバイといえばエミレーツ航空の印象が強く、降り立つ人々の大半はドバイ国際空港での乗り継ぎで終わってしまっているのが現状だ。ドバイの市内に数時間滞在するだけでも、観光都市としてのユニークさが十分に感じられることは間違いない。そして、日本では見られない上級クラスがあるメトロやトラムなどの特徴的、かつ日本企業がさまざまな形で関与している鉄道網を体験してみるのも面白いだろう。
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