素材にリサイクル、身軽な経営もサステイナブル TBM山﨑敦義は「それなりの成功」に満足しない

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結局、なぜ東南アジアを含めた国々で海洋プラスチックの問題が出るかというと、やはり社会インフラがないからです。だから不法投棄が増える。社会的な責任のある企業が力を合わせて連携すれば、きっと解決できます。

国や政府が変わっていく前にその仕組みをつくって先導すれば、その後、国もルールをつくって整備できる。国の動きを待ってからやっていたのでは、たぶん間に合わないと思うんです。

起業家ならではの発想、スタートアップならではの社会的役割なのかもしれませんが、そういったモデルを、この日本の中で創り上げて、海外に輸出していきたいんです。

工場は資産として持たず、運営のみで身軽に

井上:世界にリサイクル工場を立ち上げるのに必要な資本はどうされるのですか。

山﨑:持たざる経営です。横須賀のプラントもそうなんですけど、全部オフバランスなんですよ。

要するに、工場の設備を、特別目的会社(SPC)を作って、そこに投資家の方々に投資をしていただいて、僕らがその会社に設備を販売して、それを僕らが操業するというモデルなんです。われわれは資産として保有せず、工場の運営を担っているため、バランスシートは重くなりません。

われわれは研究開発型のディープテックだといわれますけど、僕は根本が商売人なんです。お金の怖さ、お金の力、お金のありがたみを実感していて、相当苦労しているぶん熟知している自負があります。

井上:LIMEXのレシピにしてもSPCによる工場設置にしても、社会的にインパクトをもたらす事業を、すごく軽快にやってのけるビジネスモデルというのはすごいですね。日本から大きなイノベーションを起こすためのヒントになりそうです。

他にも日本の起業家たちが世界に羽ばたくために意識すべきことはあるでしょうか。

山﨑:1つはプレイヤーが覚悟を持つこと。時間をかけてやり遂げると決めて投資家に伝えられるかです。

そんなに簡単に企業価値を高めることはできないはずです。だからそれまでの間、しっかりと腰を据えて粘る。自分たちが覚悟を決めて、ステークホルダーに理解してもらえるようにする。

もう1つは、グローバルな視野だと思います。

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