素材にリサイクル、身軽な経営もサステイナブル TBM山﨑敦義は「それなりの成功」に満足しない

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井上:なるほど。これでマテリアルリサイクルが進めば、売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よしとなりますね。横須賀工場のビジネスモデルは他の地域にも横展開できるのではないでしょうか。

山﨑:横須賀のリサイクル工場の状況を見て「うちでもやりたい」と言ってくださる自治体さんが増えています。確実に、世の中がその方向へと動き出しています。

カーボンニュートラルと、サーキュラーエコノミーっていうのは、待ったなしでスピードを上げて動いていくと思うので、どれだけのスピード感、そして規模感を持って取り組んでいけるかだと思います。われわれも、次のプラントの準備を進めているところです。

井上:グローバル展開はいかがでしょうか。LIMEXも世界で利用され始めています。プラごみも含めてリサイクルのインフラ整備のしやすさは国によって状況が違うのではないでしょうか。

途上国ではルール作りに時間がかかる

山﨑:廃棄物の事情というのは国によって違います。

例えば、中国は国土が広く、多くの使い捨てのプラスチック製品は回収されず、埋め立てによって処理されてきた。2020年に政府から政策目標が示され、一部の使い捨てプラスチック製品は全国的に販売や使用が禁止され、ビニール袋やカトラリーなど生分解される素材が指定の地域で推奨されるようになりました。バクテリアや菌類によって分解され、自然に循環しなければならないということです。

中国政府は、回収してリサイクルするインフラをつくるのではなく、時間やコストがかかっても自然に土に還る素材の普及に注力しています。

海洋プラスチックをたくさん流出しているインドネシアとかベトナムは、状況がまた異なります。

途上国には、メーカーからの委託金から処理費用を捻出するという仕組みが整っていません。日本でいう容器包装リサイクル法のようなものがないんです。国として政府がルールを作って、委託金のようなものを進めていくには時間がかかります。

だから、民間の資金できちんと経済合理性を担保しながらリサイクルしていく方法を考える必要がある。

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