[Book Review 今週のラインナップ]
・『バブルの世界史 ブーム・アンド・バストの法則と教訓』
・『今を生きる思想 福沢諭吉 最後の蘭学者』
・『日本ゲートウェイ』
・『増補 文明史のなかの明治憲法 この国のかたちと西洋体験』
評者・BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎
燃料、酸素、熱の3条件に火花が加わると炎が上がる。バブルも同じだ。低金利で膨張する通貨・信用が燃料、規制緩和などによる市場性の高まりが酸素、投機の広がりが熱。火花となるのは多くの場合、政府の政策転換だ。本書は繰り返すバブルを歴史的に分析した好著である。
庶民の間で投機が広がりバブルの民主化が進んだ
1つ目の逸話は17世紀オランダのチューリップバブルかと思いきや、違った。この話は、1840年代のジャーナリストが十分な検証なく現実を過大に描いた著作を基に、後の研究者が世界初の大投機と位置づけたものだという。
本書がまず注目するのは、1720年のフランス・ミシシッピバブルと英国・南海バブルだ。ともにスペイン王位継承戦争で膨らんだ債務を処理するため、政策的に引き起こされた。フランスでは「市場性が低い公債と値上がりが期待される株式の交換」という金融革新で通貨制度改革が企図されたが、銀行システムが動揺し停滞が長引いた。一方、英国では富裕層が騒乱に巻き込まれるにとどまった。
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