庶民の間で投機広がり「バブルの民主化」が進んだ 『バブルの世界史』など書評4冊

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ブックレビュー『今週の4冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『バブルの世界史 ブーム・アンド・バストの法則と教訓』

・『今を生きる思想 福沢諭吉 最後の蘭学者』

・『日本ゲートウェイ』

・『増補 文明史のなかの明治憲法 この国のかたちと西洋体験』

『バブルの世界史 ブーム・アンド・バストの法則と教訓』ウィリアム・クイン、ジョン・D・ターナー 著
『バブルの世界史 ブーム・アンド・バストの法則と教訓』ウィリアム・クイン、ジョン・D・ターナー 著/高遠裕子 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎

燃料、酸素、熱の3条件に火花が加わると炎が上がる。バブルも同じだ。低金利で膨張する通貨・信用が燃料、規制緩和などによる市場性の高まりが酸素、投機の広がりが熱。火花となるのは多くの場合、政府の政策転換だ。本書は繰り返すバブルを歴史的に分析した好著である。

庶民の間で投機が広がりバブルの民主化が進んだ

1つ目の逸話は17世紀オランダのチューリップバブルかと思いきや、違った。この話は、1840年代のジャーナリストが十分な検証なく現実を過大に描いた著作を基に、後の研究者が世界初の大投機と位置づけたものだという。

本書がまず注目するのは、1720年のフランス・ミシシッピバブルと英国・南海バブルだ。ともにスペイン王位継承戦争で膨らんだ債務を処理するため、政策的に引き起こされた。フランスでは「市場性が低い公債と値上がりが期待される株式の交換」という金融革新で通貨制度改革が企図されたが、銀行システムが動揺し停滞が長引いた。一方、英国では富裕層が騒乱に巻き込まれるにとどまった。

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