「休んでもやることがない」人が実は抱える問題 生きる上で「楽しみ」や「気晴らし」は重要だ

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もう何カ月も判で押したような毎日で大した楽しみもなく、ろくな気晴らしもしていない、という人はいないでしょうか。例えば、旅行というのは、衣食住のように絶対になければ生きていけないものではありませんが、コロナ禍を経て、旅行のありがたみを痛感している人も多いと思います。

一方で、コロナ禍による自粛期間中は、移動や外出の自由が制限されたことで、新しい趣味にチャレンジした人も多かったようです。スポーツ選手やタレントの方で、自粛中に楽器を始めてみた、久しぶりに読書に励んでいる、といった発信もしばしば目にしました。

「楽しみ」「気晴らし」は、健康やお金などとは違って、不要不急ではないと思いがちです。しかしこれらは、心身の健康のためには「必要」で「なくてはならないもの」なのです。

「楽しみ」「気晴らし」が思い浮かばない人は…

未来が不透明な今、社会情勢が今後どうなるかは誰にもわかりません。だからこそ、自分の仕事や健康状態、なにより年齢を経ても続けることができる、その人の今にとって、持続可能な「楽しみ」「気晴らし」をもつのは、大切なことです。

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では、どんなことならやりたいかな、とか、こんなことを始めたら楽しいかもしれない、と考えたとき、何が思い浮かぶでしょうか。

何も浮かばない、というかたはいませんか? 「楽しい」という感情がなくなる、あるいは見つける気力がなくなった状態は、うつに入りかけているサインかもしれません。これが進行すると、「アンヘドニア」という症状に発展します。

アンヘドニアは、「快楽消失」「無快楽症」と訳されます。19世紀末に、トマス・クロウストンというイギリスの医師は、アンヘドニアがうつ病の発症時にもっとも頻繁にみられる症状であると記載しています。また、この医師は、幸福感と楽しみの喪失、喜びの欠如などを「感情麻痺」とも名付けています。

「楽しみ」や「気晴らし」を軽んじて喜びを感じられなくならないよう、1週間、1カ月といったスパンで、楽しみながら続けられることを生活のなかに取り入れていきましょう。

週末の半日散歩を近場から始めてみる、とか、美味しいランチのお店巡りを月に1~2回のペースでやってみる、など、楽しみに思えて続けられそうなプランからまずは計画してみてはいかがでしょうか。

西多 昌規 早稲田大学教授 早稲田大学睡眠研究所所長 精神科医

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にしだ まさき / Masaki Nishida

東京医科歯科大学医学部卒業。ハーバード大学客員研究員、東京医科歯科大学大学院助教、自治医科大学講師、スタンフォード大学客員講師などを経て、現職。日本精神神経学会精神科専門医、日本睡眠学会専門医、日本老年精神医学会専門医など。専門は睡眠医学、身体運動とメンタルヘルス、アスリートのメンタルケアなど。著書に、『休む技術』『休む技術2』(大和書房)、『悪夢障害』(幻冬舎新書)、『自分の「異常性」に気づかない人たち』(草思社文庫)などがある。

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