34年ぶりアマプラ復活「たけし城」違和感の正体 なぜAmazonがTBS伝説番組をリブートしたのか

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オリジナル版と同じくTBS所有の緑山スタジオの屋外に巨大なオープンセットが組まれ、新旧ゲームセットが作られた。参加者は総勢300人余りに上った(©2023 Tokyo Broadcasting System Television, Inc. All Rights Reserved)

それゆえにオリジナル版と同じくTBS所有の緑山スタジオの2万坪ある屋外に巨大なオープンセットが組まれ、番組を象徴する「たけし城」をはじめ、ぬるぬるの飛び石が仕掛けられた「竜神池」、泥沼の上を渡る「ジブラルタル海峡」といった懐かしいゲームセットが再現されています。

ビートたけしも出演

無理ゲー度の高い新たなゲームも追加され、規模が拡大されていることが令和版の特徴の1つにあります。具体的な製作費は公表されていませんが、Amazonジャパン日本オリジナルコンテンツ製作責任者の早川敬之氏曰く、「スケール感は近年稀にみるもの」だそうです。「全体像は緑山に巨大なアミューズメントパークが出来上がったようにも見え、今の日本のバラエティ番組では実現するのが難しいほどの規模感です」とも表現しています。

スケールの大きさを売りにできるのは企画段階から世界展開を見据えることができるAmazonならではのものですが、お金をかけた分だけ面白さが倍増するほど単純なものではありません。

期待値は当初から高く、昨年夏の撮影時期の数カ月前にオーディション告知を行い、参加者を募集したところ、総応募数は1300人に上ったそうです。

「制作担当したTBSが中心となって人数を絞っていくなか、若い方も大勢いたのが印象的だった」と話すAmazonの早川氏。オリジナル版を視聴したことがない若年層から支持されることも狙って作るうえで、安心材料になったはずです。

最終的に約300人が選ばれ、本編では16歳の高校生の見せ場も作り出されています。ほかの顔ぶれにはオリジナル版に参加したことがある人やTBSのスポーツ番組「SASUKE」出場者なども含まれ、素人感のない人選も多く、オリジナル版より身近さに欠けています。そもそも動画慣れしたYouTube時代の今は、テレビ出演そのものに高揚感を持たせるのは難しいのかもしれません。

【2023年5月29日19時10分追記】初出時の情報に誤りがあったため、修正しました。

セットや人選によって祭り色を高める演出は、キャスト陣にも表れています。たけし城の家老家臣役としてお笑いコンビのバナナマン、たけし城を守る配下の城の城主役に上田晋也(くりぃむしちゅー)、渡辺直美、市川猿之助が並び、たけし軍の武将役に春日俊彰(オードリー)ら顔が知れたタレントで多数占められています。また「行けー!」の掛け声で視聴者参加者を鼓舞する攻撃隊長に声優の木村昴が新たに起用されています。

たけし城を守る配下の城の城主役に渡辺直美のほか、上田晋也(くりぃむしちゅー)と市川猿之助も出演する(©2023 Tokyo Broadcasting System Television, Inc. All Rights Reserved)
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