2010年代以降の雇用、世界と日本の傾向に違いも 労働市場の課題は雇用の「ミスマッチ解消」だ

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交差点を行き交う人々
(写真:まちゃー/PIXTA)

就業者数の推移が改めて国際的な関心を集めている。新型コロナウイルスの感染拡大や感染症対策の副作用として、労働市場への悪影響が懸念された。東京大学の渡辺努教授は著書『世界インフレの謎』で、直近の国際的な物価上昇の原因として、とくに米国における就業者数の減少を指摘している。この傾向は感染拡大防止対策の緩和後も継続しており、財やサービスの需要拡大に供給側が対応できていない。

より長期的な傾向としては、人口構造の変化が与える影響がある。大半の先進国で就業率が低い傾向のある65歳以上の高齢者の割合が増加(高齢化)し、全人口当たり就業率に恒常的な低下圧力が生じている。米国ではコロナ禍前から就業率の低下が続いていた。

一方、日本の傾向を示したのが下図だ。周知のとおり2010年代において、生産年齢人口比率が低下し続けている。対して就業率は10年代中盤以降、一貫して上昇傾向。この状況が10年代の日本社会の特徴であった。

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