政治家による誤情報拡散、目的は固い支持基盤 誤情報の悪用は選挙の機能を低下させてしまう

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トランプ元米大統領
フェイクニュースを主張していると非難された米国トランプ前大統領(写真:Al Drago/Bloomberg)

新型コロナワクチンにはマイクロチップが入っていて5Gで操作されてしまう。そんな陰謀論を目にしたことはないだろうか。これに限らず、でたらめな情報(誤情報)がフェイクニュースなどの形を取ってインターネット上で拡散している。本稿では、誤情報の拡散とそれが民主主義に及ぼす影響について考えたい。

そもそも人が誤情報を信じ続けてしまうのはなぜか。この問いは、政治心理学で精力的に研究されてきた。わかってきたのは、「動機づけられた推論」と呼ばれる、人間の情報処理の癖が原因となっていることだ。情報処理の目的は、何が正しいかを正確に理解することだろうが、現実の人間はそう単純ではない。「〇〇だと信じたい」といった動機を持つ場合もある。○○だと信じ続けるために、誤情報を額面どおりに受け取ったり、正しい情報を無視したりしてしまうことがあるのだ。

代表例の1つが確証バイアスだ。事前の仮説・考えと整合的になるように情報を誤って処理してしまう。例えば、「ワクチンにはマイクロチップが入っていて危ないかもしれない」と信じながらワクチンは危ないという情報ばかりを追い求め、安全だというニュースを無視したり、誤解したりしてしまうのだ。

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