「SNSを否定する親」がわかっていない子への弊害 今の子は親とは違う新しい時代を生きている
人間は、お互いを思い合いケアし合うことができる生き物であると同時に、競争する生き物でもあります。競争って、ある程度安全が守られた中で行われれば「切磋琢磨」になりますが、生きるか死ぬかのバトルロワイヤルになると、生き残るのは1人だけです。
だから、本当は競争とケアのバランスを取らなければいけないはずなんですが、今は競争に偏りすぎてしまっているように感じます。そして、競争よりもケアが下に見られるようになっている。子育てや教育が軽視され、少子化が進む今の日本の現状を象徴しているように思います。
尾原:ケアというのは、「今はたまたまこの環境だと強い人たち」が、「次の新しい環境で強くなるかもしれない人」を、一緒に育んでいくことです。そうでないとこの先、環境が変化する中で、全員が共倒れになってしまう。ですからケアは、本当は損得勘定で言えば「投資」なんです。
本の4つ目のルールにも「ダイバーシティ(多様性)」を挙げていますが、環境が激しく変化し、「今のままでいることが最大のリスク」というとき、現状を変えるためには多様性を育む必要があります。多様性を育んだり、お互いケアし合ったりするのは、自分たちのためなんですよね。
未来は「不安なもの」ではない
おおた:いろんな好みや能力を持った人たちがいてくれたほうがいい。「違う」ことに価値があり、違うからこそ、その集団の中で必要とされる。そういう世の中をこれから作るとなると、やはり、子どものユニークな個性をのびのびと生かすことが、教育の一番の価値になってきます。
尾原:親のほうはどうしても、かつて自分の時代に成功した武器を振りかざしたくなってしまう。それは、未来が不安だからです。だとしたら、「未来ってそこまで不安じゃない。子どもたちは、今の時代の新しいルールの中で歩み始めているんだから」と伝えたい。大人は、そんな子どもたちの背中を、どうしたら押してあげられるかを考えてほしいです。
おおた:子どもたちには、この本に書かれていることを励ましやヒントと捉えて、自分のオーセンティックを積み上げてほしいですね。
(構成:大井 明子)
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