「SNSを否定する親」がわかっていない子への弊害 今の子は親とは違う新しい時代を生きている

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人間は、お互いを思い合いケアし合うことができる生き物であると同時に、競争する生き物でもあります。競争って、ある程度安全が守られた中で行われれば「切磋琢磨」になりますが、生きるか死ぬかのバトルロワイヤルになると、生き残るのは1人だけです。

だから、本当は競争とケアのバランスを取らなければいけないはずなんですが、今は競争に偏りすぎてしまっているように感じます。そして、競争よりもケアが下に見られるようになっている。子育てや教育が軽視され、少子化が進む今の日本の現状を象徴しているように思います。

尾原:ケアというのは、「今はたまたまこの環境だと強い人たち」が、「次の新しい環境で強くなるかもしれない人」を、一緒に育んでいくことです。そうでないとこの先、環境が変化する中で、全員が共倒れになってしまう。ですからケアは、本当は損得勘定で言えば「投資」なんです。

本の4つ目のルールにも「ダイバーシティ(多様性)」を挙げていますが、環境が激しく変化し、「今のままでいることが最大のリスク」というとき、現状を変えるためには多様性を育む必要があります。多様性を育んだり、お互いケアし合ったりするのは、自分たちのためなんですよね。

未来は「不安なもの」ではない

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おおた:いろんな好みや能力を持った人たちがいてくれたほうがいい。「違う」ことに価値があり、違うからこそ、その集団の中で必要とされる。そういう世の中をこれから作るとなると、やはり、子どものユニークな個性をのびのびと生かすことが、教育の一番の価値になってきます。

尾原:親のほうはどうしても、かつて自分の時代に成功した武器を振りかざしたくなってしまう。それは、未来が不安だからです。だとしたら、「未来ってそこまで不安じゃない。子どもたちは、今の時代の新しいルールの中で歩み始めているんだから」と伝えたい。大人は、そんな子どもたちの背中を、どうしたら押してあげられるかを考えてほしいです。

おおた:子どもたちには、この本に書かれていることを励ましやヒントと捉えて、自分のオーセンティックを積み上げてほしいですね。

(構成:大井 明子)

尾原 和啓 ITエバンジェリスト

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おばら かずひろ / Kazuhiro Obara

1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用人工知能論講座修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタートし、NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援、リクルート、ケイ・ラボラトリー(現:KLab、取締役)、コーポレートディレクション、サイバード、電子金券開発、リクルート(2回目)、オプト、Google、楽天(執行役員)の事業企画、投資、新規事業に従事。経済産業省対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザーなどを歴任。著書に『モチベーション革命』『アフターデジタル』(共著)、『ザ・プラットフォーム』『どこでも誰とでも働ける』『IT ビジネスの原理』などがある。

 

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おおたとしまさ 教育ジャーナリスト

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Toshimasa Ota

「子どもが“パパ〜!”っていつでも抱きついてくれる期間なんてほんの数年。今、子どもと一緒にいられなかったら一生後悔する」と株式会社リクルートを脱サラ。育児・教育をテーマに執筆・講演活動を行う。著書は『名門校とは何か?』『ルポ 塾歴社会』など80冊以上。著書一覧はこちら

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