「SNSを否定する親」がわかっていない子への弊害 今の子は親とは違う新しい時代を生きている
尾原:そうなんです。それが本当にもったいなくて。
おおた:この本の帯にも、「『親の常識』が足かせになる。」と書かれていますが、親のほうは、よかれと思って子どもにあれこれ言います。でも、子どもたちは親の知らない世界を生きていて、親は、知らないからこそ、そういう子どもたちの姿を見ると不安になってしまいます。
尾原:「失敗させたくない」と思っちゃいますからね。
おおた:親は怖いんですよね。世の中がどんどん変化し、先が見えなくなる中で、「この子はどうやって生きていくのか」と不安になる。そして“自分が知っている武器”を授けたいと思って、「あれやりなさい」「これやりなさい」と言ってしまう。そこで子どもが見向きしないと、「やっておかないと、後で困るよ」と脅すわけです。
でも、親は親である以上、どうやっても不安からは逃れられないと思うんです。どんなにいい学校に行っても、どんなにいい会社に入っても、親ってずっと不安です。キリがない。その気持ちはわかりますが、「正解のない時代、先が見えない時代だから」と子どもを怖がらせるのではなく、「人からうらやましがられるものを得たことによって得られる幸せ」とは別のところに、たくさんの幸せがあるということを、子どもには伝えてほしい。
生きている喜びを味わえる瞬間って、どんな人にもたくさんあると思うんです。仲間と一緒に食事をしたり、家族でゆったりした時間を過ごしたり、恋人と手をつないで街を歩いたり、友達とチャリで疾走したり。そういう幸せです。
「ギブ」しづらい世の中になっている
おおた:尾原さんは本の中で、1番目のルールに「GIVE(ギブ):与える人になろう」を挙げています。もともと人間はギブする能力を備えているのに、あえてルールの最初をギブにしているのは、ギブしづらい世の中になっているからでもあるように思います。
尾原:「損得勘定で考えたほうが正解」という価値観が強いからだと思います。ギブって損得勘定からしたら、やっちゃいけないことですよね。
おおた:損得勘定抜きにして、相手に何かを提供することが、なぜ難しくなっているのか。どうしてわれわれは損得勘定みたいなものにとらわれてしまうのか。