「SNSを否定する親」がわかっていない子への弊害 今の子は親とは違う新しい時代を生きている
子どもが「自分らしく」生きるには
おおたとしまさ:尾原さんは「ITの人」ですが、僕はあまりITに強くないんです。でもこの本には、僕が教育現場を取材していて感じることと、本質的には同じことが書いてあって、なんだか答え合わせができたような気がしてほっとしました。
尾原和啓:それはうれしいです。気軽に誰とでもつながることができ、すぐに情報を得られる時代に、「どんな価値観を大事にすれば、よりいきいきとしていられるか」を伝えたくて。
おおた:尾原さんが本の中で触れている「オーセンティック(authentic)」という言葉が印象に残っています。僕は「正規品」といったニュアンスの言葉だと思っていたんですが、「自分らしさ」に近い、深い意味を持った言葉だと知りました。
尾原:おっしゃる通り、この言葉には、ブランド品の「偽物」に対する「正規品」といったイメージがありますし、権威あるものに保障された「正解」を指すと捉えられることが多い。でも実は「この人はこんな場所から来て、こんな道を歩いてきたのだから、これからもずっとこんな道を歩んでいくにちがいない。そう信じられる」といった意味を持つんです。
おおた:「その人らしさの一貫性」に近いでしょうか。人間ですから、これが好きになったりあれが好きになったりと変化はしますが、そうした揺らぎの中に、その人の核となる部分が見えてくる。そんな核のある生き方ができたら素敵ですよね。だからといって、いわゆる「勝ち組」になれるかどうかはわからないですが。