選択や行動を阻害、社会的弱者を襲う「ぬかるみ」 『スラッジ 不合理をもたらすぬかるみ』など書評4冊

✎ 1〜 ✎ 392 ✎ 393 ✎ 394 ✎ 最新
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
ブックレビュー『今週の4冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『スラッジ 不合理をもたらすぬかるみ』

・『男性危機(メンズクライシス)? 国際社会の男性政策に学ぶ』

・『物価動乱 ウクライナ侵攻「2.24後」の世界』

・『「幕府」とは何か 武家政権の正当性』

『スラッジ 不合理をもたらすぬかるみ』キャス・R・サンスティーン 著
『スラッジ 不合理をもたらすぬかるみ』キャス・R・サンスティーン 著/土方奈美 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・パパラカ研究所社長 山根承子

新年度の始まる時期、書類仕事に追われる人は多いだろう。この書類は本当に必要なのか、似た書類を何度も出した気がする。こんなに面倒ならいっそやめてしまおうか……。そう思うとき、あなたは「スラッジ」に直面しているのかもしれない。

人の選択や行動を阻害 社会的弱者を襲う「ぬかるみ」

本書は、人の選択や行動を阻害する「ぬかるみ(sludge)」によって何が起こり、誰がその犠牲になるのかを解説する。

具体的な例を挙げよう。ある市では、貧困家庭向け一時援助金を申請するために、まず2つの会場で受給資格審査の面接を受ける必要がある。その後、役所の担当者の自宅訪問を受け、オリエンテーションに参加し、さらに37日間にわたる講座に参加しなければならない。想像するだけでもめまいのしてくる手続きだ。

次ページ『男性危機(メンズクライシス)? 国際社会の男性政策に学ぶ』
関連記事
トピックボードAD