米・キューバ接近で米州の力関係は変わるか 「歴史的会談」を手放しには褒められない
米国が依然として35カ国からなる南北米州で多くの難題に直面する中、オバマ米大統領は、これまで米国をやり玉に挙げてきた、米州首脳会議(米州サミット)を、多くの喝采を浴びながら後にした。
今後の課題は、オバマ氏とその後任が、キューバとの親善回復を通じて新たに得た信頼を活用できるかである。
南北米州における新時代
オバマ氏は今回、キューバのラウル・カストロ国家評議会議長と1時間にわたり対談したが、米国が出席したのは米州サミットが1994年に始まってから初めてのことだった。今回のサミットでは、ブラジルのジルマ・ルセフ大統領が6月に米国を訪問することも発表された。ちなみにルセフ氏は、米国が彼女の会話を盗聴したことに腹を立て、2013年に予定していた訪米は直前でキャンセルしている。
オバマ氏はこのほかにも、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領とも言葉を交わしている(マドゥロ氏はその数時間前に米国を「帝国主義者の干渉」とののしり、人権侵害があったとされている、ベネズエラ政府関係者への制裁の解除の要求をちらつかせていた)。
こうした中12日、メキシコ『El Universal』紙の見出しには「米州における新時代」との見出しが躍った。
もちろん、明るいことだけではない。カストロ氏は、彼が言うキューバに対する抑圧の歴史について、長期にわたって米国を批判してきた。ベネズエラ、ボリビア、アルゼンチンの首相もそれに追随している。また、オマバ氏がキューバをテロ支援国家のリストから除外する(米州地域の多くの首脳は、キューバがテロ支援国家に指定されていることに疑問を抱いている)との期待を裏切るとの見方もあり、これは各国が大使館を再開させる妨げになっている。