愛知県が県営住宅450戸を用意して被災者受け入れ。中部電力、トヨタも社宅を提供へ
地方自治体からの被災地支援も本格化している。県職員、市職員の現地への派遣だけでなく、被災者の受け入れも大きな課題。
愛知県は3月22日に被災者受入対策プロジェクトチーム(PT)を発足させた。同チームは総務・調整班(6人)、住宅確保班(8人)、3月29日発足の生活福祉班(6人)からなる。被災者を県内に受け入れ、受け入れ後のサポートを進めていくのがミッションだ。
3月30日時点で愛知県が確保した県営住宅は450戸(うち50戸は人工透析患者用)。橋元徹知事のリーダーシップにより早くから約450戸(最大2000戸へ拡大予定)の提供を表明した大阪府と同規模だ。
県営住宅に、名古屋市やその他の県内市町村や公社の提供する公営住宅を含めると、県内では1140戸をそろえた。さらにトヨタ自動車、中部電力が保有する社宅を大規模に提供することを決めており、都道府県としての提供戸数では最大級になりつつある。「戸数の目標があるわけではないが、できるだけ増やしていくというのが知事の考えだ」(愛知県・被災者受入対策PTの菊池学主任主査)。
■3月30日までに219世帯、747人を受け入れ
用意した1140戸には続々と入居が始まっている。30日時点の入居状況を見ると、以下のようになる。
愛知県=147世帯(520人、うち岩手10人、宮城36人、福島456人、その他18人)
名古屋市=46世帯(140人、うち岩手5人、宮城30人、福島98人、その他7人)
その他市町村= 11世帯(39人、うち岩手4人、宮城13人、福島22人)
県・市公社=15世帯(48人、うち宮城2人、福島39人、その他7人)
合計すると入居したのは219世帯(3月30日時点)。1140戸に対し、まだまだ余裕がある状況だ。
県では戸数を増やすだけでなく、受け入れの質も高めようとしている。県内に設置されたNPO団体の連絡会組織「あいち・なごや東北関東大震災ボランティア支援連絡会」を通じ、ボランティアによる支援体制も整える計画だ。「受け入れ被災者のニーズと県民等の支援の声を上手にマッチングすることで、県民運動へとつなげていきたい」と菊池主任主査は言う(写真は3月31日に開催されたあいち・なごや東北関東大震災ボランティア支援連絡会の会合の様子)。
愛知県は1944年の東南海地震、1959年の伊勢湾台風で多くの被災者を出し、さらに今後30年内の発生確率87%という東海地震への備えから、特に防災には力を入れている自治体。ただ復興支援の点では、大阪府や兵庫県などとくらべアピール力がやや弱いのも事実。今後、積極的なアピールをすることにより、被災者受け入れに続き、被災企業の誘致なども積極的に進めていく考えだ。
(山田 俊浩 =東洋経済オンライン)
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