東武小泉線、「日本のブラジル」へ走るシブい路線 異国情緒のカラフル駅舎…メインは通学利用
現在の西小泉駅舎の出入り口正面にも、草むす空き地が広がっているが、これも廃線跡(もしくは駅構内の跡)だろう。その空き地の真ん中に、傾いたままで地面に突き刺さったキロポストがぽつねんと佇む。
「これはなんでしょうね……。私が運転していた頃も……あまり意識した記憶がないのでわかりません。間違いないのは、ここも昔は駅や線路があった、ということくらいです」(清水さん)
「もとは上州鉄道という会社の路線で、それを東武が買収したのが小泉線です。最終的には熊谷までつなぐ予定だったといいます。それが実現していれば、いまのようなローカル線ではなかったのかもしれませんね。上州鉄道時代の狸塚(むじなづか)という駅の跡には、石碑が残っていますよ」(丸山さん)
伊勢崎線より近道だが
実は、単純な距離だけでいえば足利を経由する伊勢崎線と比べて館林―太田間は小泉線の方が短い。いわば“バイパス”としての機能も持っているというわけだ。かつて、足利の花火大会の折などには1800系「りょうもう」の回送を小泉線経由で走らせるようなこともあったというが、いまはそうした運用はなくなった。まったく純粋な、ローカル線なのだ。
そうしたわけで、小泉線には無人駅も多い。館林―西小泉間では篠塚駅と小泉町駅の2駅が終日無人駅。この駅から乗車する場合は、乗車証明書を取ってから乗るか、だいたいはICカード乗車券を使うということになる。ただ、2021年までは駅近くの商店にきっぷの販売を委託する、“簡易委託”を行っていた。
「委託販売を終了するというときには、かなりたくさんのファンの方に来ていただいて、きっぷがよく売れたんですよ。委託をしていたお店の人もかなりよろこんでいました。『乗車券がなくなるから持ってきてください』と言われたくらいですから。無人駅だけでなく、小泉線は地元の人にとてもよくしてもらっている路線なんです」(丸山さん)
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