アメリカvs中国の「覇権争い」、その恐るべき未来 国内分断のアメリカ、国家主導の限界も見える中国

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白熱する「米中覇権争い」の現状と今後とは?(写真:manoimage/PIXTA)
歴史を振り返ると、アメリカとソ連が対立する構図が、長きにわたり続いてきた。いわゆる米ソ冷戦時代だ。
一方、現在はどうか。最大の人口とGDPを持ち、アメリカの覇権に挑戦する国、つまり中国が台頭していることがアメリカを悩ませている。
日本にも多大なる影響を与え得る両国の対立の現状はどうなっているのか。ビジネスパーソン向けに「地政学」の教鞭を執る田村耕太郎氏の新刊『地政学が最強の教養である “圧倒的教養”が身につく、たった1つの学問』を通して、解説してもらった。

中国は「次期覇権国家」になりうるのか?

アメリカには、世界の3大重要地域で覇権を確保したいとの戦略がある。世界経済の覇権を維持するのに不可欠な3つの地域だ。それは、

・アジア

・欧州

・中東

である。この3カ所で自らの覇権を脅かすような潜在的パワーは全力でその台頭を阻止するというものだ。

これはアメリカの海軍幹部から明確に聞かされた言葉である。「アメリカの経済エコシステムのど真ん中にいるのがアメリカ海軍である」と。

アメリカ海軍は世界中のアメリカ企業の経済活動を支え、アメリカの物流を守る。アメリカ海軍の情報が企業活動にも共有され、アメリカ企業の情報がアメリカ海軍にも入る。アメリカ海軍で鍛えられた人材が民間にも採用され、民間からアメリカ海軍に学びにも来る。

アメリカ海軍の幹部がアメリカの高等教育機関やシンクタンクで教育や研究活動に従事する。アメリカの研究者がアメリカ海軍に叡智を与える。アメリカ海軍はアメリカのスタートアップエコシステムにも投資して技術革新を促進する。アメリカのスタートアップエコシステムで生まれた各種技術がアメリカ海軍で活用される。

アメリカの軍人は一般市民からもリスペクトされ、民間飛行機の搭乗は最優先される。スポーツ観戦にも招待されて、スクリーンに映し出され、大観衆が歓声を上げて歓迎する。学費の高いアメリカの大学で学ぶ奨学金も軍人には用意され、病気やケガの場合は、アメリカの高い医療費もカバーされる。年金も手厚い。

2013年にオバマ大統領は「アメリカはもう、世界の警察官ではない」と公言した。アメリカが世界の警察から退くことになるきっかけは、冷静終結後も続けた世界の紛争への介入のコストが高かったことにある。冷戦終結後アメリカは、湾岸戦争、911、テロとの戦い、アフガン侵攻、そしてイラク戦争とベトナム戦争を超える泥沼化を経験した。冷戦構造終結にある。

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