超インフレ時代を生き抜く「資産形成」3ステップ アメリカの高校生が学校で学んでいる「投資術」

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そしてもちろん、この戦略はあなたにも有効だ。少なくとも現時点では、多額のお金を投資に回せるわけではないかもしれないが、運用していればそれだけでお金が増えていく。それにもしかしたら、このまま着実に貯金と投資を続けていれば、資産100万ドルだって夢ではないかもしれない!

インフレーション、デフレーション、生活費

ただ生きるだけならお金はかからないと思うかもしれないが、そんなことはない。ただ生きるためのお金は、「インフレーション(インフレ)」、あるいは「デフレーション(デフレ)」という形で支払うことになる。

簡単にいえば、インフレとは、以前にある金額で買えていたものが、同じ金額では買えなくなるということだ。たとえば、数年前まで映画のチケットは7ドルだったが、今では同じ映画館でも10ドル出さないとチケットが買えないというような状況がインフレだ。

これはお金の価値が下がることなので、結果的にあなたの購買力も下がる。そのためインフレになると、ただ持っているだけのお金はどんどん価値が目減りしていく。

モノやサービスの価格が上昇する率のことで、計測する方法はいろいろある。アメリカでは、一般的に「消費者物価指数(CPI)」と、「生産者物価指数(PPI)」が使われる。CPIは買い手(消費者)の側からモノやサービスの価格の変化を計測した数字で、PPIは売り手(生産者)の側からモノやサービスの価格の変化を計測した数字だ。

過度なインフレは経済に打撃を与える。インフレ率を下げる方法の1つは、金利を上げることだ。金利をコントロールするのは国の中央銀行の仕事であり、アメリカでは連邦準備制度理事会(FRB)がその役目を担っている。

他方、デフレーション(デフレ)はインフレの正反対の現象だ。デフレになると、物価が下がり、あなたの購買力は上昇する。専門家の中には、「デフレはいいことだと」言う人もいれば、反対に「デフレは悪いことだ」と言う人もいる。この問題についてはさまざまな議論があるが、絶対的な正解は誰にもわからない。

前項で述べたように、インフレは長い目で見れば資産運用に大きなマイナスの影響を与える。インフレはお金の価値を下げるからだ。その一方で、デフレでもまた長い目で見れば資産運用にはマイナスになる。

デフレはモノが売れないから起こる現象であり、モノが売れないのは景気が悪いからだ(特に車などの高いモノが売れなくなる)。景気が悪いと経済が成長せず、会社の業績も上がらない。その結果として株価が下がる。デフレのときは、利回りが保証された投資を選んだほうがうまくいくだろう。

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