入江慎也「人の紹介で人生を変えてしまう」怖さ 生み出した「人脈広いキャラ」が暴走した末路
――この本を出したきっかけは?
たくさんの出版社から「本を出しませんか?」という依頼をいただいていたんですが、そのほとんどが「闇営業騒動について真相を語ってほしい」というようなものでした。それについては先輩方に迷惑をかけている以上、僕が語ることでもないと思ってお断りしていたんです。
でも、清掃業を始めてから、新潮社の編集者の方とお話をする機会があって。そこで「騒動のことではなく、清掃業を始めてから今に至るまでのことを書くというのはいいかもしれないですね」という話になって。新潮社では以前にも僕が本を出していて信頼関係もあったので、そこで本を書くことになりました。
――この本を書く過程で、ご自分の人生を改めて振り返ってみてどう思われましたか?
とにかく騒動の前から必死で芸能界にしがみつこうとしていたし、焦ってましたね。ギリギリでやってたんだな、って思いますけど、でも芸人は芸人でめっちゃ楽しかったな、という感覚もあります。
――入江さんは闇営業騒動が原因で事務所を辞めることになったわけですが、実はその前から精神的には不安定な状態に陥っていて、いつもイライラしていたそうですね。
人脈が広いということで注目されて、自分の会社を作って、夜はいつも誰かと会食させていただいて、先輩にも呼んでいただいて、充実はしていたんですけど、どこかで無理してたんだと思います。自分のキャパシティーを超えていました。
なんかずっとイライラしてたんですよね。自分ががんばっている割に仕事が増えていないと思って、マネージャーに不満を言ったり、相方(矢部太郎)に対しても「俺がこれだけやってるんだから、お前ももっとがんばれよ」「決まった先輩とばかり遊んでないで、もっと視野広げろよ」とか思ったりしていました。
でも、あとあと考えたら、矢部は矢部でその時期に大家さんと絆を深めていて、それを作品(『大家さんと僕』)にしたりしていたんですよね。そういう努力が僕には見えていなかったんです。
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