【産業天気図・外食】所得低迷、少子高齢化で逆風続く。M&Aや多角化など生き残り競争熾烈に

●お天気概況
 所得低迷や少子高齢化を背景に厳しい環境が続くという構造に、基本的に変化はない。ただ、前2004年度はBSEや鳥インフルエンザなど食品問題やアテネ五輪という大型イベント、さらに台風、地震などの自然災害が相次ぎ、外食産業は大打撃を受けた。今05年度は、こういったマイナス要素は減少すると見られるのが救いではある。各社ともオーバーストアの中、新業態の開発や既存業態のリニューアルに生き残りを賭けている。
 業態別に見ると、居酒屋業界は非常に厳しい。所得環境の明確な好転がないため逆風が続きそうだ。大手のワタミは、居酒屋既存店はマイナスが続き、改装や新業態でテコ入れを図る。連結では2ケタの増収増益だが、買収した老人ホームが連結化される影響が大きい。大庄、コロワイドも一ケタの増収。仕入れの改善や労務管理の効率化など合理化による利益確保を目指す。ブームが沈静化したカフェ業態もまだ低調。ドトール、スターバックスコーヒージャパンの2強とも出店で売り上げを稼ぐ。急速な大量出店の失敗で赤字を計上したスターバックスは不採算店の整理が進んで利益は改善する。
 反面、過去、低価格競争でマーケットが混乱したファーストフードは、最大手の日本マクドナルドホールディングスのマーケティング戦略が安定、客足の回復がうかがえる。モスフードサービスは、より高級路線を打ち出し、既存店の改装と店数の純増で業績の回復を目指す。
 長らく市場停滞が続いているファミリーレストランも低調。最大手のすかいらーくは出店を加速、下期以降の既存店回復を見込んでいるが、小幅な増収増益にとどまる。BSE問題で苦しんだ牛丼や焼き肉チェーンは代替メニューの開発が進み、ようやく底打ちが見えた格好。吉野家ディー・アンド・シーも黒字転換する見込み。

●今後の注目点
 既存事業が逆風を受ける中、M&Aによる成長を模索する動きが一段と強まっている。牛丼「すき屋」を展開するゼンショーは積極的なM&Aで成長を続け、この2月にも商社系うどんチェーンを買収、08年3月期に売上高2220億円(05年3月期1253億円)を目指す中期計画を打ち上げている。焼肉店「牛角」で成長したレックス・ホールディングス(旧レインズインターナショナル)もコンビニ、スーパーを相次いで買収し、業容を拡大した。ワタミも非外食への展開を進めるため老人ホーム運営会社を買収、積極的な施設展開を図る考えだ。このほか居酒屋業界では、コロワイドががんこ炎の友好的TOBを実施、大庄も中堅チェーン買収や店舗譲り受けを進め、拡大路線を強化している。市場縮小が予想されるだけに、M&Aによるシェア拡大、多角化の動きは加速しそうだ。
【丸山尚文記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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