話し始めた途端「イライラされる人」共通の話し方 無意識のうちに相手の時間を奪っていませんか

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これ、もし冒頭3秒で切るなら、「先方は当社の製品を非常に喜んでくれておりまして。」ここで話を終える人はいませんよね。「『おりまして。』で、なんなの?」となるからです。冒頭3秒で切るなら、「契約はいただけませんでした。」ですね。「商談の結果、どうだった?」と聞かれていますから。3秒しかなければこれが結論になります。詳細を語るのはその後です。

「いまの発表を聞いて、〇〇さんはどう思いましたか?」と突然コメントを求められたら?「そうですねー。とっても明るくて、声もハキハキされていて、すごく聞き取りやすくて、聞いていて元気をいただきまして……」。ハイ、ストップ。これも冒頭3秒で切りましょう。「とっても元気をいただきました」。となります。

具合が悪い報告をするときも3秒で

具合の悪い報告をするときも、「すみません。企画書の内容は確認したつもりなのですが、資料に間違いがあったようで、お客様に送付した後に気づきまして、一応お客様には連絡を入れたのですが……」。ハイ、冒頭3秒で切りましょう。「すみません。ミスをしました」。これが結論です。

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人間の能力は凄いもので、「冒頭は3秒で切る」と決めると、そこに結論を入れようとします。当スクールの受講生に、「本日セミナーにお申込みいただいたきっかけはなんですか?」と尋ねると、「銀行に勤めておりまして、融資担当をしているのですが、地域を回るときに商品説明がうまくいかなくて、どうしても話が長くなってしまうので……」と話してくれます。これを「冒頭3秒で切ってみましょう」と言うと、「5分で商品が説明できるようになりたいです」と結論が最初に出てくるようになります。

当スクールのセミナーでは、
・消費税は上げるべきか下げるべきか
・日本は移民を受け入れるべきか否か
・小学校における英語教育は必要か否か
・中学校にスマートフォンを持ち込んでもよいか

ーーなど、答えるのが難しいテーマについて、あえて3秒で答えてもらいます。4、5回チャレンジすると、「私は〇〇だと思います。」と、冒頭からピシッと結論が出てくるようになります。結論を言った後に、根拠を説明してもらっています。むしろ、結論を言った後に根拠を考えるくらいでちょうどいいです。

「こんなこと言ってもいいのかな……」「否定されたらどうしよう……」と躊躇する人は、発言の数が減るので腕が上がりません。大事なのは場数です。大丈夫です。スパスパ結論から話せる人なんて、極稀です。10人のうち1人いるかいないかです。

結論から話そうと努力しているだけでも、あなたの希少価値はグンと高まります。なぜなら「冒頭は3秒で切る」なんて意識して、話している人はほとんどいないからです。結論の精度を求めてはいけません。まずは場数を踏むことに拘り、何度も「冒頭3秒」にチャレンジしてみること。何度かチャレンジしているうちに、結論から話せる感覚が掴めるようになるはずです。

桐生 稔 伝わる話し方の専門家

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きりゅう みのる / Minoru Kiryu

モチベーション&コミュニケーション代表取締役、日本能力開発推進協会メンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラー、日本声診断協会音声心理士。2002年、大手人材派遣会社に入社。営業成績がドベで新卒3ヵ月にして左遷される。そこから一念発起し、全国売上達成率No.1を実現。その後、音楽スクールに転職後、事業部長を務め、2017年、社会人の伝わる話し方を向上すべく、モチベーション&コミュニケーション設立。これまで全国40都道府県で年間2000回にわたり「伝わる話し方」のセミナーや研修を開催してきた。テレビ朝日とABEMAが共同製作する『マッドマックスTV論破王』ではディベートの審査員も務めている。
 

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