倒産ベンチャー社長も支援、前澤ファンドの手腕 4度目の起業に挑む「しくじり社長」の告白

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注文住宅の施主と工務店をつなぐアプリ事業を展開するITベンチャーのマイホム。前身の会社は倒産したが、2021年に再出発を果たす。しくじり社長の再起を自らのファンドによる出資で支えた前澤友作氏の手腕とは。

マイホムの乃村一政CEOと実業家の前澤友作氏
注文住宅向けアプリ事業を展開する「マイホム」の乃村一政CEO(右)は、実業家の前澤友作氏(左)が立ち上げたファンドの支援により、倒産後に4度目の起業にこぎつけた(写真:マイホム)

きっかけはツイッターだった。

「求む!!十人の起業家」

2020年2月、ファッション通販サイト「ゾゾタウン」の創業者である前澤友作氏のツイートは大きな反響を呼んだ。10人の起業家に10億円ずつ投資する「前澤ファンド」の設立を発表したのだ。フォロワー700万人(当時)の中に、乃村一政もいた。住宅業界に特化したITベンチャーの社長を務めていた乃村は、3回目の資金調達を検討している最中だった。

乃村は自社の役員から賛同を得て、前澤ファンドに応募。書類選考通過後の3次面談で、初めて前澤と対面した。「ここの事業はこんなにうまくいくの?」。前澤の指摘は的確で、普段から経営陣が頭を悩ませる箇所をピンポイントで突いてくる。会う前は勝手に右脳型の人物だと思っていたが、実際は驚くほどロジカルで真剣に向き合ってきた。

前澤ファンドとの面談は5回以上続き、事業内容や起業家の性格を見極めながら投資先を絞り込んでいることが見て取れた。

倒産から起業への苦悶

ところが、乃村の会社は2020年12月に入ると火の車だった。住宅のIoT事業向けに専用端末を製造したが、過剰在庫を抱えて資金繰りが悪化。前澤が高く評価した注文住宅向けアプリ事業は順調でユーザー数が伸びていたが、SaaS(サース、クラウドで提供するソフトウェア)事業だけに赤字先行の成長過程にあった。

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