200人以上が殺到する駅遠・築古の「一芸物件」 「埼玉県鶴ヶ島市」の車マニア向け一軒家

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埼玉県鶴ヶ島市にあるガレージハウス「HOBBY STUDIO」は、都心から1時間半以上、駅遠という立地、さらに地域の相場より2万円ほど高い家賃となっています。それでも、満室どころか、つねに200人もの人がウェイティング・リストに名を連ねています

その人気の秘密は、車マニアによる、車マニアのための工夫が詰め込まれていること。ご自身も大の車好きであるというオーナーの田中さんによって、普通のガレージ付きの物件にはとどまらない、以下の3つのような工夫が凝らされています。

① 居住スペースから愛車を眺められる空間設計

「HOBBY STUDIO」は、なんと寝室などの居住スペースからも愛車を眺められる部屋があります。いつでも愛車を眺めながら生活したいという、車好きの夢を叶えた間取りになっています。田中さんの元来の車好きのセンスが存分に生かされ、車を愛する人々の琴線にふれる空間設計が実現しています。

家の中でリラックスしながら愛車を眺めることができる(写真:『高い家賃なのにいつも満室になる人気物件のつくり方 一芸物件』)

② マニアの心が躍るガレージ設備

十分な広さを確保したガレージには、そこで車との時間を過ごす人が、快適に過ごすことができるように、エアコン・電動シャッター・TV アンテナ端子・水道・換気扇などを完備。たとえ真夏でも涼しいなかで愛車をカスタムすることができます。愛車を心おきなく鑑賞したり、メンテナンス作業に没頭したりすることのできる、まさに夢を形にした物件ですね。

③ 空間のカスタムも自由

ガレージは居住者が使いやすいよう、できるだけ自由にカスタムしてもらいたいとの意図から、壁にはボードを設置。ビスを打ったり、ツールボックスを取り付けたりが容易にできるようにしています。退去時の原状復帰は不要です。

この「ガレージハウス」のポイントは、想定入居者として「マニア以外は切り捨てている」というところにあると思います。まんべんなく、より多くの人を囲もうとするのではなく、車マニアにしか目を向けず、マニアの要望に合わせて物件をつくりあげる。結果として、熱狂的なマニアに支持されるという現象が起こっているのではないかと思います。まさに「一芸」を尖らせた好例と言えるでしょう。

「住む」以外の価値が求められるように

もう一つ、一芸物件が人気になっているポイントは、「時代のライフスタイルの多様化」に合わせた物件づくりがされている、というところです

例えば、こんな世の中の変化があります。

作業時間を短くする〝時短〞という言葉はすっかり定着しましたが、それがさらに進化した〝時産〞の時代がはじまっているようです。文字通り、時間を生み出すということで、わかりやすい例では、ロボット掃除機やネットスーパーを活用することで自分のスケジュールから掃除や買い物の仕事を外し、その時間は自分時間として確保することを意味します。

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