SMBC日興が相場操縦事件で中国での現法設立断念 業績への影響は第3四半期までの累計で330億円に

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相場操縦事件で金融庁などから処分を受けたSMBC日興証券は30日、計画していた中国での現地法人設立を断念したと発表した。牛島真丞常務執行役員(企画統括兼財務担当)は同日のオンライン決算会見で、計画中止の背景に事件の影響があったと説明した。

相場操縦事件の業績への影響は続いている。牛島氏は、2022年10-12月期(第3四半期)の純営業収益ベースでは影響額が約80億円に上ったことを明らかにした。4-6月の約100億円、7-9月の約150億円と合わせて今期累計で約330億円となる。

SMBC日興は21年に三井住友フィナンシャルグループと共同で、中国での証券会社設立に向けて当局に認可を申請したと発表。中国国内の機関投資家、政府機関や優良企業などに向けた事業を展開することを想定していた。

牛島氏は「相場操縦事件の影響を受けて、当局からの早期の認可が困難ではなかろうかという判断のもと中止になった」と述べた。計画断念に関連して、撤収費用など約30億円の損失を計上した。

SMBC日興証券の看板Source:Bloomberg

SMBC日興を舞台にした相場操縦事件では昨年、株主が株式を大量処分する際に用いられる「ブロックオファー」と呼ばれる取引で特定銘柄の株価を不当に維持したとして、元副社長の佐藤俊弘被告ら6人と法人としてのSMBC日興が金融商品取引法違反(相場操縦)の罪で起訴された。

同社と元執行役員エクイティ本部副本部長の杉野輝也被告(57)に対する論告求刑公判で検察側は法人に罰金10億円、追徴金44億円余り、杉野被告に懲役1年6月をそれぞれ求刑した。東京地方裁判所は2月13日に判決を言い渡す予定。

金融庁は、SMBC日興に対して売買審査体制や経営管理体制に不備があったとして、22年10月7日から23年1月6日までの3カ月間「ブロックオファー」取引の停止を命令した。同社によると、7日以降もブロックオファー取引は再開していない。また、東京証券取引所は22年12月、過怠金3億円、5日間の一部売買停止などを科す処分を行った。

22年10-12月期連結決算は、純営業収益が前年同期比38%減の564億円、純損益は149億円の損失(前年同期は152億円の利益)と3四半期連続の最終赤字となった。

関連記事:SMBC日興に罰金10億円求刑、類を見ない悪質さ-相場操縦事件 (2)

--取材協力:.

(中国参入計画の背景などを加えて更新します)

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著者:梅川崇、中道敬

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