「定年後に自宅売却」した7家族の厳しすぎる結末 妻に断られ単身田舎暮らし、予想を下回る売値…
便利なマンションでの快適な暮らしが夢の藻くずと消えたのはつらい。だが、資金や体力に不安を抱えながら自宅売却を押し進めても、もっとつらい目にあったかもしれないと思うと、踏みとどまって正解だったのかもしれない。
4.郊外の一戸建ては高く売れない
バブル期に高く買った人は、安くなっていると覚悟をして売却に臨むものの、実際はそれを上回る安さとなるケースは多い。「敷地を分割して売るにも建ぺい率の条件などで売りにくいなど、売却がスムーズにいかない場合も多いです」
狭いマンションに住み替えるには家財の大量処分が必要。「断捨離は体力的にも精神的にもエネルギーを使う作業で、高齢者が実行するのはかなりハードと肝に銘じて」
瞬く間に消えた老後のための大金
自宅売却を検討する理由は、手元に現金がないからというケースも。最後に残った財産である不動産を売り、現金を得ようというわけだ。
これを実行したのがひとり暮らしの伊東さん(仮名・70代女性)。自宅を担保に資金を融資してもらう「リバースモーゲージ」という制度(詳しくは左下参照)を利用し、1000万円ほどを融資してもらった。
金利を払いながらではあるが自宅に住み続けることもでき、老後資金も手に入り、これで安心な老後が送れるはずだったのだが……。
「お金が手元に入ったので、子どもや孫にいろいろしてあげたくなってしまったようでして。そうしたら、あっという間に貯金が減ってしまったんです。
こんなはずではなかったんですが突然、大金を手にして浮かれてしまったと話していました。たった1つの財産だった持ち家ももう担保に入れてしまったので、不安で仕方がないと」