「定年後に自宅売却」した7家族の厳しすぎる結末 妻に断られ単身田舎暮らし、予想を下回る売値…
田舎は人間関係が密で、都会から移り住むと窮屈に感じる場合もある。「また、買い物や通院には車が必須。その維持費がかかるうえ、運転できなくなったときのことも考えるべきです」
自宅があれば、田舎になじめなかったら戻る選択肢もあるが、売却したら退路はない。「家は売却するにも購入するにも、さまざまな費用や税金がかかります。何度も売買をするのは現実的ではないため、熟慮するのが大切です」
駅近マンションへ転居はハードル高し
都下の私鉄沿線の自宅を売りに出し、駅に近い利便性の高いマンションに移り住みたいと考えたのが谷口さん夫婦(仮名・70代)だ。
自宅は、バブル当時の大ヒットドラマにも登場したニュータウンにあり、敷地面積40~50坪で120平方メートルと広く、子育て時代はよかったものの高齢となった夫婦2人の手には余っていた。
「駅から遠いのもつらくなってきて、半分の広さでいいから駅近の便利なマンションをと思ったようですが……」
結果から先に言うと、この計画は断念するしかなかった。
「それなりの価格で売却できると思い、ご相談に来たのですが、予想をはるかに下回る値段しかつかなかったんです」
今の60~70代がこぞって購入したのは郊外の一戸建てが多く、買い手がつきにくくて高く売れないという厳しい現実がある。また、家財の処分も壁となった。
「今ある家財の半分以上を捨てないと、新居のマンションには収まらない。そこまで考えると、この年でやりきれる自信がなくなってしまったらしく、考えた末に、今の自宅に住み続ける覚悟を決めていました」