「私は日本人」と語ったアメリカ人歌手が炎上の訳 日本人にはわかりにくい文化の盗用という問題

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つまり、カラオにとってステファニの発言は、「Cultural appropriation(文化の盗用)」にあたるというわけだ。文化の盗用については詳しく後述するが、簡単に言えば、ある文化圏の要素をほかの文化圏の人が利用することを指す。マジョリティ側がマイノリティの文化を盗用することが問題とされることが多い。

カラオのコメントは拡散され、テレビやソーシャルメディアで、アメリカのみならず、世界中で議論された。

厳しい立場に置かれているアジア系アメリカ人

歴史的に、アジア系アメリカ人とそのイメージは、アメリカ人によって、個人的にも、メディアにおいても、軽蔑的に扱われてきた。アジア人は、その外見、文化、アクセントなどに関する人種的中傷や侮辱の対象になってきた。

そして、トランプ氏がコロナウイルスを「チャイニーズ・ウイルス」と名付けてアジア人に責任を押し付けて以来(ほとんどのアメリカ人は日本人、中国人、韓国人、フィリピン人などの区別がつかない)、その無礼が暴力や死へとエスカレートする例が増えている。

実際、アメリカ連邦捜査局(FBI)によると、2019年から2020年にかけて、アジア系アメリカ人や、アメリカに住むアジア人に対するヘイトクライムはそれ以前に比べて77%増加した。そして、2020年3月から2021年6月までの間に、9000件以上の反アジア人ヘイト事件が報告されている。こうしたヘイトや暴力への認識を高めるために、#StopAsianHateキャンペーンが行われるようになったのだ。

だから、カラオがインタビューの際にステファニが日本人だと主張したことが不快だったのは理解できる。実際、ステファニは日系アメリカ人としてアメリカで暮らすという非常に現実的な危険に直面することはないだろうし、ステファニの言葉がカラオのような人々にどう影響するかを気にしない無知による無神経さは、アジア人に対する"崇拝"は自分のイメージを高めるから、という理由に限定されていることを示している。

では、ステファニの言動をめぐる炎上は、日本とどう関係があるのか。1月半ば、中東衛星局「アルジャジーラ」のデビッド・マクエルヒニー記者はステファニ発言をめぐる騒動を取り上げ、「CNN、ガーディアン、CBS、ABC、NBC、バズフィードなどの(アメリカ)メディアは、カラオのインタビューとその結果起こったソーシャルメディアで騒ぎは取り上げたものの、これに対する日本人自身の見解への言及はまったく報道していない」と指摘した。

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