歩くだけで稼げた!NFT「ステップン」を襲う重税 大暴騰後の大暴落、これから申告をどうする?

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国税庁は2023年1月13日、ゲームの報酬とゲーム内通貨を取得した場合、所得税の課税の対象にすることを公表。これによって、暗号資産GSTを日本円に換えていなくても、年末のレートで利益を計算しなければならなくなったのである。

ステップンの利用者は、最初に日本円をビットコインに換え、それで暗号資産ソラナを買って、初めて開始できる。そうした特質上から、ゲーム内で獲得した暗号資産GSTを利益が出た都度、日本円に換えてはいないことが多い。

だが、たとえ納税資金がなくても利益を計算し、翌年の3月15日までには確定申告書を提出する必要がある。当然、確定申告を怠れば、税務調査を受け、加えて無申告として、納税額の最大15%の無申告加算税と延滞税が追徴される。

現実の金銭を稼げるゲームファイという市場

近年、スマホなどでゲームをすることによって、容易に暗号資産やNFTが得られ、現実の金銭を稼げるゲームファイ(ゲームと金融の融合)がはやっている。ステップン以外にも例えば『ソラーレ』という、世界中のプロサッカー選手のトレーディングカードが売買され、選手の活躍で暗号資産が得られるゲームもある。

こうして得た経済的利益にも課税されることは知られていない。

具体的な事例は、①NFTのキャラクター・アイテムなどで取得価額を売却価額が上回って利益が発生した場合(譲渡所得か雑所得に該当)、②臨時・偶発的に50万円以上を超えるNFTキャラなどを得た場合(一時所得に該当)、③役務の提供で暗号資産やNFTキャラなどを得た場合(事業所得・雑所得に該当)、④NFTキャラなどを購入する際に暗号資産の含み益が20万円以上ある場合(雑所得に該当)などだ。

ステップンの利用者は、国外のゲームファイだから申告しなくてよいと思い込む人が多いが、暗号資産の取引を含めたゲームファイでは、国外の取引所を利用しても居住地の日本で課税される。国税当局は2023年も多くの暗号資産の税務調査を通じ、着々と調査方法や調査データの蓄積を行っている。

私だけは大丈夫と思って申告をしないと、数年後に多額の納税額に愕然とする、悲惨な結末が待っていることを忘れてはならない。

坂本 新 たまらん坂税理士法人 代表社員

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さかもと・しん

1991年東京国税局入局。元国税局徴収官。都内税務署や査察部等を経て、2018年税理士登録。19年税理士事務所開設。日本暗号資産ビジネス協会にも会員登録される。

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