新しくNHK会長に就任する稲葉延雄氏は、日銀の自主独立に腐心してきた人物だ。
日本銀行にとって1996年は重要な年だった。「国家目的ノ達成ヲ使命トシテ運営セラルベシ」という戦時立法の日銀法(旧法)を改正しようという機運が盛り上がったのだ。
不祥事が相次いだ大蔵省(現財務省)の権限縮小が議論の出発点だったのだが、あれよあれよという間に、「日銀の独立性確保」に向けた動きが加速した。
議論のたたき台を作ったのは中央銀行研究会(首相の私的研究会)。官邸で開かれた同年10月31日の会合で、こんな発言がなされたと議事録に残っている。
「国権の最高機関に引っかけるということは、NHK方式みたいになるわけですね。そういうことになるともっと政治の介入を許すことになって、政治が予算や決算を通じてもっともっと文句を言えるような状況になってしまう」
「むしろそういうのは避けたほうがいいんじゃないか。NHKなどを見ているとそうとうご苦労なさっていらっしゃいますから、予算を国会に持っていかれちゃったときはもっとひどくなるので、(人事の)任命のところだけ国会に引っかけておくほうが現実的にはいちばん日銀の独立性がうまくいくんじゃないか」(議事録は情報公開法で入手し、主旨を変えない範囲で一部話し言葉を修正した)
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら