「ゲーム理論」小学生から知っておいて損はない訳 結果だけを見て非難し合う大人にならないために

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おおた:それはとても大事なところですよね。何に基づいて仮定をするかはいろいろな要素があるとは思うのですが、小学生くらいの世代は、「だいたいこんなものだろう」という思い込みから判断してしまって、その結果「違っていた」となったとき、その思考の過程を遡っていって、自分の立てた仮定がそもそも間違っていたことに気づく、という経験が初めてできます。

これは人間的成長にもつながると思いますし、人と人との関係の中で、論理的コミュニケーション能力につながっていくとも考えています。私も著書『子育ての「選択」大全』で、「あ、ここが違ってたんだ」とわかることを重要なプロセスだと指摘しました。

鎌田:小学生の頃って、結果だけ見て、そこの違いをもとに言い合いをしているということも多いと思うんです。でも、よく見るとそれは前提が違ったということが多いですね。

経済学者の鎌田雄一郎氏
経済学者の鎌田雄一郎氏

おおた:そう、大人同士でもそればっかりですしね。たしかに、ゲーム理論的な思考を身につけることによって、相手の仮定や前提のおき方の違いに目が向けられるようになるのは、とても重要なのだろうなと思います。

小学生の頃から1つでも多くの学問と出合うきっかけを

おおた:大人になったら学べることは、小学生の頃から無理して学ぶ必要がないのではないかと考えているのですが、ゲーム理論は大人でも理解するのが難しい学問のように思いますので、小学生が知って、果たして身につくんだろうかという気もしています。

ちなみに鎌田さんは、小学生の頃からゲーム理論を知っていたら、のめり込んでいたと思いますか?

鎌田:自分が小学生の頃にゲーム理論を知っていても、そのときにゲーム理論をもっと知りたいとは思わなかったかもしれないし、大学で理系の研究を経たうえでゲーム理論を学ぶようになったから、研究者になる道がひらけてよかったのかもしれません。

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でも、想像の話ですけれども、僕が小学生のときにゲーム理論を知ったら、「楽しい」とは感じたのではないかなと思うんですね。小学生のときから目指した職業に将来就ける、というのもよいことだとは思いますが、ただ「楽しい」学問を知っているというのはとても大事なことですよね。

当たり前ではありますが、多くの小学生は、自分が知っている範囲で物事を考えます。親の職業に影響されることも多いでしょう。そういうとき、本を読むと、身近にない学問の面白さを疑似体験できると思うんですよね。そういうものの1つとしてのゲーム理論。もちろんその結果、将来に素晴らしいゲーム理論学者が誕生する! なんてことはないかもしれませんが、知っているといろんな子が楽しめるのではないかと思うんです。

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