日銀の金融政策決定会合を前に金融市場が揺れている。2022年12月、唐突に長短金利操作(YCC)政策を修正し衝撃をもたらしたため、さらなる政策修正に警戒感が高まる。この10年、リフレ政策は誤算の末にごまかしを重ねてYCCに行き着いた。目指したインフレがその持続性に終止符を打つ。
日銀は1月17、18日に金融政策決定会合を開く。金融市場では現在の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)政策の修正観測が根強い。2022年12月に突然、長期金利の変動幅を拡大させ、事実上の「利上げ」を決定したからだ。
変動幅の拡大について、日銀は表立っては「市場機能への配慮」と説明するが、実態は「副作用対策の自縄自縛」(日銀OB)であり、今後、YCCはなし崩し的に解除される方向と受け止められる。
「利上げではない」と日銀が言っても金利は上昇
2022年12月19、20日の政策決定会合で日銀が長期金利の変動幅を拡大したことは、金融市場には「寝耳に水」だった。
インフレ進行を背景に、欧米金利と同様に日本の長期金利も上昇。日銀が変動幅の上限としていた0.25%に張り付いていたが、上限引き上げについて、日銀幹部はそれまで「利上げになる」と否定的な見解を示していたからだ。長期金利のこう着は、取引低迷などの副作用をもたらしたが、「日銀は静観する」(銀行系証券アナリスト)とみられた。
ところが、日銀は唐突に長期金利の変動幅の上限を0.25%から0.5%に引き上げ、金融市場に衝撃をもたらした。黒田東彦総裁は会見で、「(金融政策の運営スタンスは)現状維持である。利上げではない」と否定したが、長期金利は変動幅がそれまでの2倍に拡大したことを受けて0.5%前後に急騰。住宅ローン金利の上昇など「利上げ」に等しい影響が出ている。
1月17、18日の決定会合では、日銀ロジックに沿えば「恐らくは現状維持になる」(大手邦銀)と見込まれる。長期金利の変動幅を拡大したことで「金融緩和の持続性が高まる」(黒田総裁)からだ。
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