バングラ「日本製電車」は壮絶渋滞を解消できるか テロの悲劇乗り越え、初の都市型鉄道が開業
MRT6号線の開業について、ハシナ首相は「バングラデシュが4つのマイルストーンを達成」と表現している。1つ目はMRT開業そのもの、2つ目はバングラデシュに“電車の時代”がやって来たこと、3つ目は遠隔制御による運行の実現、4つ目はバングラデシュにおける史上最速の通信システムの導入だという。
首相は、選挙公約を通じ「ダッカを渋滞のない街にし、周辺の地区と接続する」と述べた。MRTは2030年までに6号線、1号線、5号線と路線網の拡充を目指しているが、この目標を達成するためにMRT運営会社のダッカ都市交通公社(DMTCL)を設立。現在4路線の計画が進行中であり、残り2路線についても実現可能性調査(F/S)が行われている。
激しい渋滞とそれによる生産性の低下は、ダッカという都市のみならず、バングラデシュ全体で解決が求められている問題だ。これについてハシナ首相は「MRTの全面開業後は雇用機会が増え、経済成長にも貢献する」「将来的には毎日の通勤に5404万人がMRTを利用する見込み」と期待感を滲ませる。また技術移転にも強い意欲を示しており「将来的にDMTCLで1万2000人もの技術者を雇用、それによって熟練の技術者が生み出され、保守点検を外国の技術者に依存することがなくなる」と指摘した。
国交樹立50周年の記念に
バングラデシュは1971年、東パキスタンから独立。翌年、日本は西側諸国の中でいち早く1972年2月に国家承認を行った。
MRTは国交樹立50周年の節目の年に開業となり「日本とバングラデシュの関係史における象徴的なできごと。開業式は50周年の忘れがたいハイライト」(岩間大使)ともなった。
交通事情が絶望的な混乱状態にあるダッカで、迅速で安全な大量輸送が可能となる高架鉄道は市民の生活に大きな変貌をもたらすだろう。
バンコクをはじめとするほかのアジアの街を見ても、新たな交通システムの導入によって都市の近代化が実現した。2030年の目標を掲げるMRT拡張計画が予定通り進めば、現在は都心部に集中している人口の郊外分散が図られ、交通の混乱解消にもメドがつくことだろう。日本との協力体制がどう継続するかも含め、今後の街の成長を見守りたい。
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