バングラ「日本製電車」は壮絶渋滞を解消できるか テロの悲劇乗り越え、初の都市型鉄道が開業

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プロジェクトのさなかの2016年には、ダッカへ派遣されていた日本人技術者7人が現地レストランでの夕食中、テロリストに襲われ殺害されるという痛ましい出来事があった。

バングラデシュ・ハシム首相
式典であいさつするハシナ首相(写真:駐バングラデシュ日本大使館提供)

首相は「彼らの貢献に敬意を表する」と言及したうえで、名誉を称える慰霊碑が主要駅であるウットラ駅のMRTインフォメーションセンターに設置されたことを披露した。さらに「悲惨なテロ事件の後もこのプロジェクトを後押ししてくれた安倍晋三元首相を偲ぶ」との言葉もあり、バングラデシュの日本に対する感謝の意が強く感じられた。

現地への赴任間もない岩間公典駐バングラデシュ日本大使は開業式典でのあいさつで、「MRTのネットワークが拡大し、人々がどこへでも迅速かつ時間が読める移動が可能になれば、結果として人々の行動変容を促し、仕事とビジネスの環境がさらに改善され、より多くの投資が行われることになる」と、同国初となる“電車”導入への意義を説明した。

「日本の技術」が支える電車

前述のように、このMRT6号線は日本の支援によるところが大きい。岩間大使は、「MRTの安全かつ正確な運行は、日本の最先端の鉄道技術に支えられていることを強調したい」と述べた。

車両はステンレス製の6両編成で、製造は川崎重工業(川崎車両)が手掛けた。軌間(線路の幅)は新幹線などと同じ標準軌の1435mm。車内と車外には乗客の安全のためにCCTVカメラを装備している。女性専用車両も設けており、開業に当たり国内初の女性運転士が採用されたことも注目されている。

ダッカMRTの自動改札機
自動改札機は日本の仕様とほぼ同じだ(写真:DMTCL)

自動改札機には、日本で一般的に使われている非接触式カードと同様、ソニーが開発したFeliCaチップを搭載した「ラピッドパス」を使用。また、CBTC(無線式の列車制御システム)の採用により高密度な列車運行が可能で、ダイヤ上は最短4分間隔で運転するとしている。さらに、ブレーキをかけた際に生じる回生電力を蓄え、効率よく電車に供給する「蓄電システム」も設置し、ブレーキ装置の省エネとメンテナンスコストの低減を図っている。

そしてなにより、MRTは「市内の慢性的な交通渋滞を緩和するだけでなく、大気汚染などの環境負荷の低減にも貢献する」と、岩間大使はその意義を強調した。

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