東京より乗りこなせる?大阪北部ご当地鉄道事情 地下鉄にモノレール、将来が楽しみな路線も

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千里中央では、千里丘陵を東西に走る大阪モノレールが待ち受ける。西の端では空の玄関口・伊丹空港。東に向かえば途中で阪急千里線と交差したのち、1970年に開催された大阪万博の開催地、万博記念公園を通り抜ける。車窓からも、まさにシンボルの太陽の塔を望むことができ、“大阪らしさ”を手軽に味わえる路線といっていい。ちなみに、ガンバ大阪がホームとしているパナソニックスタジアム吹田も、大阪モノレール沿線だ。

阪急千里線は大阪では数少ない私鉄から地下鉄に直通する路線だ(撮影:鼠入昌史)

大阪モノレールはさらに南茨木で阪急京都線と交差して、東海道新幹線の鳥飼車両基地の脇を通過、淀川を渡って門真市まで続いている。こちらにも延伸計画があって、2029年には瓜生堂まで延びる予定だという。おおさか東線の存在といい、大阪東部はかなりの伸びしろが期待できる、ということなのだろう。

このあたりで、また新大阪に戻り、御堂筋線でも新快速でもなんでもいいのでひとまず淀川を渡って大阪駅に行くことにする。大阪駅は、新大阪が開業するまでは名実ともに大阪を代表するターミナルだった。いまでもJR西日本でいちばんお客が多い駅で、全国でも10本の指に入る。本格的な大阪の旅は、大阪駅を拠点にするのが筋といえば筋なのだ。

大阪駅は、あくまでもJRだけの名だ。この駅、というかその一帯は梅田という名のほうが一般的だ。そして私鉄各線、阪急やら阪神やら、そして地下鉄も、梅田(大阪梅田)と名乗る。

京都や神戸へ向かう路線

阪急電車と阪神電車はこの梅田がそれぞれのネットワークの中心で、いずれも阪急百貨店・阪神百貨店というターミナルビルを兼ね備える。兼ね備えるというか、実態としては百貨店が駅を備えているというのが正しいと思えるくらいだ。諸説あるようだが、ターミナルビルに直営百貨店、という私鉄の経営スタイルは、1929年に阪急が始めたものである。

地上に出る阪神電車
阪神電車は大阪中心部では地下を走る。地上に出るとほどなく淀川を渡り尼崎を目指す(撮影:鼠入昌史)

ただ、阪急電車も阪神電車も、目指す先は大阪府内ではない。西に向かう阪神電車と阪急神戸線はあっさりと大阪府内を脱して兵庫県に入ってしまう。阪急京都線はまだいくらか大阪府内を走り、JR京都線と並行して吹田や茨木、高槻などを通るが、最終的には京都を目指す。

阪急のルーツたる宝塚線は、地下鉄御堂筋線・北大阪急行と同じように北摂をめざし、豊中や池田などの住宅地を駆け抜ける。石橋阪大前では箕面に向かう箕面線を分かつ。が、こちらも最後には猪名川を渡って兵庫県内に入り、宝塚が目的地。この梅田をターミナルとする私鉄路線が、“京阪神”の経済圏としての一体化に大きく貢献してきたのだろう。

猪名川を渡る阪急宝塚線
大阪と兵庫の府県境でもある猪名川を渡る阪急宝塚線(撮影:鼠入昌史)
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