ホンダが販売する新車は2040年にすべて電気自動車と燃料電池車に置き換える方針。この動きに重大な経営判断を迫られるのが、取引先の部品メーカーだ。
2022年10月上旬、三部敏宏社長をはじめとするホンダ経営陣の姿は都内ホテルにあった。同社と関係の深い部品メーカーの幹部たちとの会合に赴いていたのだ。会合では三部社長が足元の事業状況を報告、最後に、本田技術研究所で開発を進める小型衛星ロケットの打ち上げの様子を映像で流した。
三部社長としては、人工知能(AI)ロボットや空飛ぶクルマ「eVTOL」と合わせて、新領域と位置づけるロケットの開発状況をアピールしたかったのだろう。だが、部品メーカー幹部らの反応は厳しい。
「4輪事業をどうしていくのか、もっと具体的な説明が欲しかった。ロケットはわれわれに何のメリットももたらさない」。会合に参加したあるホンダ系部品メーカーの幹部はそうこぼす。
廃業を選んだ部品メーカーも
ホンダの世界生産台数は、半導体不足や中国の都市封鎖などで2022年4~9月期もコロナ禍前の2019年同期と比べ3割減と回復していない。上場する主なホンダ系部品メーカーも、10社中6社が営業減益となるなど業績が振るわない。冷めた反応は仕方がないといえる。
2040年には販売する新車をすべて電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)にする計画を掲げるホンダ。これまでガソリン車やハイブリッド車(HV)を強みとしてきただけに、日本勢で唯一の「脱エンジン目標」は取引先である部品メーカーへの影響が非常に大きい。中でも、EVになれば市場が確実に縮小するエンジン部品メーカーへの衝撃は深刻だ。
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