デジタル・シティズンシップ教育とは?注目されている背景や海外・日本での取り組みについて解説
誰でも活用できる教材
Common Sense Educationが制作したデジタル・シティズンシップ教材動画に日本語字幕を付けているものがYouTube上にアップロードされています。国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの准教授・主幹研究員である豊福晋平氏によるものです。また、いくつかの動画に関する児童・生徒向けワークシートや教師向けの指導テキストが保存されているGoogleドライブへのアクセスも可能で、授業ですぐに使えるようになっています。
デジタルシティズンシップ教材(日本語字幕版) - YouTube
自治体でのデジタル・エデュケーション
大阪府吹田市は、「吹田市ICT教育グランドデザイン」にデジタル・シティズンシップ教育を取り入れ、「責任を持って積極的にICTを活用する」「デジタル空間を公共の場と捉える」「立ち止まって考える」を3本柱に2021年度より市内の全小・中学校で授業を行っています。
授業では、『コモン・センス・エデュケーション』を活用し、「デジタル足跡とアイデンティティー」「プライバシーのセキュリティー」「メディアバランスとウェルビーイング」「対人関係とコミュニケーション」「ニュースとメディアリテラシー」「いじめ・もめ事・ヘイトスピーチ」の6つの領域で示されている力を義務教育9年間で身に付けていきます。
鳥取県では、インターネットの不適切な利用による問題の発生を学校全体で予防するため、デジタル・シティズンシップ・エデュケーターを内の学校に派遣し、児童・生徒を対象とした啓発授業の実施と併せて教職員研修を行っています。
鳥取市立若葉台小学校「デジタル・シティズンシップ 2021/09/01」
鳥取県「【教職員の皆様へ】鳥取県デジタル・シティズンシップエデュケーターを派遣(無料)します」
埼玉県吉川市では、2021年度から専門の支援員を配し、デジタル・シティズンシップ教育に力を入れている。子どもたちに加えて、教員や保護者にも研修・講義を行っており、表面的な使用法にとどまらず、それぞれの立場での意識改革を重視しています。
一方、学校図書館を中心にデジタル・シティズンシップ教育を推進しようとする自治体もある。長野県高森町だ。新学習指導要領では、学校図書館が『読書センター・学習センター・情報センター』という3つの機能を備えていることが前提になっていますが、この3つの機能を果たしている学校図書館は少ないのが現状です。
ほかにも岐阜県岐阜市、愛媛県四国中央市、埼玉県の戸田市や久喜市、長野県の一部自治体など、デジタル・シティズンシップ教育に舵を切る教育委員会は多くあります。
まとめ
次期学習指導要領の改訂の検討の中でも、「デジタル・シティズンシップ教育を各教科等で推進することを重視」と記載されました。