デジタル・シティズンシップ教育とは?注目されている背景や海外・日本での取り組みについて解説

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

未来につながる実践的な学習活動としてのデジタル・シティズンシップ教育は、Society 5.0の世の中でよりよく生きていくための学びともいえます。

デジタル・シティズンシップ教育を受けるメリット・デメリット

現行の学習指導要領においてはデジタル・シティズンシップ教育に関する記述はなく、国内で使える教材や実践例は多くありません。現在のところ、経済産業省の未来の教室STEAMライブラリー内に教材があったり、Googleのデジタル・シティズンシップ教材が公開されたりしていますが、これまでの情報モラル教育やほかの教育ICT教材や実践例と比較するとまだまだ少数派です。

しかし、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議が2022年6月2日に発表した「Society 5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージ(案)」には「次期学習指導要領の改訂の検討においても、デジタル・シティズンシップ教育を各教科等で推進することを重視」と記載されていて、国としても重視していることがわかります。

また、GIGAスクール構想が進展している令和の時代においては、児童・生徒が1人1台の端末を活用しています。今までは校内に設置されたPCなどを複数人で共有・使用することが一般的でしたが、児童・生徒が自分一人で端末を使用するよう変化したのです。教育ICT環境を管理する立場である学校教職員や自治体などは、これまでの常識にとらわれず、未来の社会を見据えた考え方で適応していくことが求められることがわかります。

現行の学習指導要領に記載はないとはいえ、Society5.0の社会の中で求められるスキルになっていくことが考えられます。次期学習指導要領を見据えて、現行の学習指導要領と関連づけてデジタル・シティズンシップ教育を実施していくことは、未来の社会を担う子どもたちにとっては大きなメリットとなります。

参照:
STEAMライブラリー
Be Internet Awesome.

海外におけるデジタル・シティズンシップ教育

デジタル・シティズンシップ教育の国際的動向の特色として、個人の心の問題としての道徳ではなく、「より善き社会、より幸福な社会の構築を目指して、みなで協力し、自己の意思で決定しつつ、責任あるデジタル技術の模範的・積極的利用を促す」といった教育が実践されています。

引用:竹内 久顕「GIGA スクール時代の平和教育 -デジタル・シティズンシップ教育との接点- p.55

代表的なものとして、アメリカの非営利団体Common Sense Educationの教材「コモン・センスエデュケーション(Common Sense Education)」があります。アメリカの60,000以上の学校に勤務する60万人以上の教育者が利用しているこの教材は、ハーバード大学大学院の研究機関Project Zeroが2010年から研究・開発に着手した教材で、幼稚園児から高校3年生までを対象とされています。

教材は、動画、スライド、授業用資料などから成り、幼児期~高校3年生までのデジタルライフで直面する課題と関心に焦点を当て、デジタルジレンマの視点から作成されています。

参照:Common Sense Education「Everything You Need to Teach Digital Citizenship

日本におけるデジタル・シティズンシップ教育

次に日本におけるデジタル・シティズンシップ教育について見ていきます。誰でも活用できるような教材がネット上にあるほか、自治体が推進している場合があります。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事