海外鉄道旅、筆者が被害に遭った「危険な手口」 国別の治安レベルとは尺度がまったく違う
ネットで検索してみると、パリ―ブリュッセル―アムステルダム間の国際列車や駅構内は要注意路線になっていた。筆者はこのときベルギーを列車で旅するのは4度目だったのであまり緊張感がなかったが、治安悪化を自身で体験したのである。
このときは長距離列車であるが、日本人にしてみれば、通勤電車や地下鉄車内でも荷物棚があるのは当たり前である。しかし、世界的には地下鉄などに荷物棚があるのは日本や韓国など、治安のいいごくごく一部の国である。残念ながら、「荷物棚に荷物を置く=盗んでください」となってしまう国が大勢を占めている。
日本では空いている地下鉄車内ではドアに近い端っこから席が埋まるが、ニューヨークでは端っこは敬遠され、中央から埋まる。端っこはドアに近いので、ひったくり被害などに遭いやすいからだ。
偶然を装って話しかけてくるので要注意
私はこのベルギーでの体験以降、少し考えが変わった部分がある。旅先で見知らぬ人に話しかけられることはよくあるが、ひょっとしたら、そのうちのいくつかは「悪意があったのでは」と考えるのである。
前述のベルギーの件も、男に話しかけられた際、私が直上の荷物をチラチラ見ていれば未遂に終わったはずだ。仮に未遂に終わっていたとし、男と話がはずめば、それはいい思い出になってしまうかもしれないからだ。彼らは「偶然を装う」のがかなり上手である。「すさんだ社会」を感じてしまうが、これが世界の現実なのと、「日本人は警戒心が希薄(よく言えばお人好し)」であることも自覚しておいたほうがいい。
発展途上国では、スラム街など「観光客が足を踏み入れてはいけない地域」があり、「そこに近づかなければ比較的安全」というケースは多い。しかし、ヨーロッパの厄介なのは、駅や観光地などで、スーツ姿だったり、観光客姿に扮したりし、フレンドリーに話しかけてくる人が、実はスリの仲間ということが多いことだ。先進国だからという油断は禁物である。
犯罪に手を染めるのはどうしても移民が多い。仕事を求め、祖国を離れてヨーロッパへ来たものの、仕事にありつけず、犯罪の道をたどるケースが多い。かつての移民は、多くの親戚から費用を工面してもらい、やっとの思いで出稼ぎに行ったのだが、近年はLCC(格安航空会社)や格安バスの発達で、気軽にヨーロッパへやってくることが可能になったことも影響している。
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