JR特急料金「最繁忙期」、各社で時期が違う不思議 2023年導入の東海など4社は東日本と日程が別

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同社は、利用が集中する年末年始やゴールデンウィーク、お盆などの時期に、利用日をピーク期間の前後にずらすと割安な価格になるように設定した。ピーク時を値上げして分散を促進するのが狙いだ。

2022年度は、最繁忙期を30日設定した一方、従来と比べて繁忙期を43日、通常期を11日減らし、閑散期を24日増やした。最繁忙期の設定で「値上げになった」という印象を受けるが、増減でいえば閑散期と通常期の日数が増えており、値下げになった日が多い。前述の年末年始の例のように、最繁忙期の直前・直後に通常期や閑散期を設けるなど、ピーク時からずらして利用してもらうことをかなり意識した設定となっている。

東海など4社は区分が細かい

JR東海・西日本・四国・九州も2023年4月から最繁忙期料金を導入するが、ややこしいのはその「カレンダー」、つまり料金設定の日程がJR東日本とは異なる点だ。

2023年度、これら4社の最繁忙期は18日間。そのほかは現行と比べ、繁忙期は13日減(計71日)、通常期は30日減(計169日)、閑散期は25日増(計108日)だ。ただし、JR九州は西九州新幹線と在来線特急には閑散期を設定しない。一方、JR東日本は最繁忙期が30日、繁忙期が71日、通常期が155日、閑散期は110日となっており、JR東海など4社に比べて最繁忙期が多めとなっている。

JR東日本は混雑するシーズンを丸ごと最繁忙期にするのに対し、JR東海など4社は混雑シーズンでも最繁忙期と繁忙期を細かく分けている。例えば8月のお盆の時期は、JR東日本が10~19日をすべて最繁忙期にしているのに対し、JR東海などは同期間、帰省ラッシュで混雑しやすい10日・11日とUターンラッシュの多い13日・16日を最繁忙期とし、そのほかの12・14・15・19日は繁忙期、17・18日は通常期としている。

2023年夏の繁忙期カレンダー

より細かいのが2023~2024年の年末年始だ。JR東日本は12月28日~1月6日をすべて最繁忙期としているが、JR東海などは28日・31日が繁忙期、29日・30日が最繁忙期だ。驚くべきことに、JR東日本が最繁忙期としている1月1日は、JR東海などは通常期である。その後も2日は繁忙期、3日・4日は最繁忙期で、5日は繁忙期と、とにかく設定が細かいのだ。

2023~2024年の繁忙期カレンダー
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