東洋経済が厳選、「これだけは読んでおくべき」教育関係者にお薦めしたい10冊 2022年がわかる、23年に備える教育トレンド
この探究学習をより有意義なものにする「ジェネレーター」という役割を提案しているのが、『ジェネレーター 学びと活動の生成』(著:市川力、井庭崇/学事出版)だ。
教えるのではなくファシリテーターとなるなど、探究学習において先生がどういう役割を果たすべきかの議論はかねて盛んに行われているが、教員がジェネレーターとなることで「新たな学びと活動をジェネレート=生成する」ことができるという。議論の内側に踏み込み、共に考えるジェネレーターになるには、何が必要なのか。まさに新たな視点を与えてくれる一冊である。
メタ認知 あなたの頭はもっとよくなる(著:三宮真智子)
新学習指導要領における新たな学力観「学びに向かう力、人間性等」の一部とされる「メタ認知」。この「メタ認知」を子どもたちに意識させることに課題を感じている教員は少なくないという。
「メタ認知」とは、自分の頭の中にいて冷静で客観的な判断をしてくれる「もう一人の自分」というイメージを描くとわかりやすいかもしれない。この「もう一人の自分」が「どうせできない」といったメンタルブロックや、いつも繰り返してしまう過ち、考え方の癖などを克服できれば、脳のパフォーマンスを最大限に発揮させることができるという。
認知心理学、教育心理学の専門家がより賢い頭の使い方を指南する『メタ認知 あなたの頭はもっとよくなる』(著:三宮真智子/中央公論新社)は、子どもたちはもちろん、大人も効率的に学習するヒントが得られるに違いない。
学校の中の発達障害(著:本田秀夫)
近年、学校において「発達障害」とされる子の割合が急増している。特別支援教育を選ぶ子どもも増えていて、これまでに経験してこなかった対応に学校も先生も追われている。
小学校以降の発達障害の子の場合、学校生活の中で経験するストレスなどが要因となって不登校などの問題が生じることも少なくない。発達障害の支援で最も重要なことは、こうした2次障害を予防すること、さらに2次障害が生じたときにその悪化を防ぐことがポイントだという。
「そのためには学校が、子どもたちにとって楽しく学べる場である必要がある」と言うのは臨床経験30年以上の発達障害の専門家である本田秀夫氏だ。本田氏が書いた『学校の中の発達障害 「多数派」「標準」「友達」に合わせられない子どもたち』(著:本田秀夫/SBクリエイティブ)では、発達障害の子は学校とどう折り合いをつけていけばいいのかについて、じっくりと考えている。