部下に「やりたいこと」を尋ねてはいけない理由 「やる気が見えない」若者の積極性を引き出す策
MUSTとはやるべきことですから、会社から期待されていること、顧客から期待されていることになります。これは見方を変えれば、MUSTは自分で考えなくてよいということです。
MUSTを認識するのはとても簡単なようですが、把握していないことが多いものです。まず、会社から求められていることを、上司に確認しましょう。あなたの部下の上司はあなたです。あなたが部下に求めていることを伝えてあげてください。
お客様に求められていることを聞くのも効果的です。一番のお得意様に、「私たちにどんなことを期待していますか?」「私たちがどんなふうになったらうれしいですか?」とヒアリングしてみてください。MUSTをヒアリングすることで、自分が何を期待されているのかを改めて理解することができます。
MUSTを掘り下げ、自分たちの進むべき未来のヒントがたくさん得られるのです。
次に考えるのはCAN、できることです。ここでは、部下の、そして自分たちの「強み」に着目する必要があります。自分たちはどんなことができるのか。CANは、部下や上司と一緒に考えるといいでしょう。
このとき重要なのが、WANTの視点で考えないことです。というのも、CANの話をしているとついつい「やりたい/やりたくない」というWANTの話にすり替わってしまうことが多いからです。とりかかる前から、可能性を潰してしまうことにつながります。
WANTかどうかを考えるのはあとです。部下が、自分たちがどんなことができるのか、CANの選択肢だけ洗いだすようにしましょう。
最後はWANTです。ここまで来れば、目標となるWANTを見つけるのは簡単です。漠然と探すのではなく、MUSTとCANの中から探すのです。上の図のように、MUSTとCANで見つけたものの中から「やりたい!」と思うものを探します。
MUSTでもCANでもないものに、強いWANTは湧いてきません。せいぜいもっと楽しみたいとか、休みを増やしたいとか、小さな願望がある程度。強いWANTを見つけたければ、MUSTとCANを明確にします。ここに魅力的なビジョンを描く近道があるのです。
「CAN」を増やすことが大事
MUST、CAN、WANTの順番で考えさせ、欲求を引き出して目標を描けるように導くわけですが、CANの強化はとても重要な要素です。できることが増えれば、やりたいことが増えるので、CANをいかに増やせるかが部下の意欲に大きく影響するわけです。部下にやる気がなかったなら、CANを増やすことに専念すべきです。
では、このCANはどうすれば増やすことができるのでしょうか。
単に「仕事を覚える」というようなCANではなく、部下のコアとなる「強み」をつくる。そのためには戦略的にデザインすることが有効です。就職活動で「あなたの強みはなんですか?」などと聞かれると、どう答えてよいか困るものですが、あの質問がなぜ答えにくいかというと、CANが少ないからです。