総合商社が「空飛ぶクルマ」事業に熱視線のワケ 用途はさまざま、商用化に向けた動きが活発に
総合商社が「空飛ぶクルマ」の商用化に向け、2023年にかけて相次いで実証プロジェクトを立ち上げる。ただ、機体の安全性や操縦性に疑問の声も挙がる。
SF映画にもしばしば登場する夢の技術が、いよいよ実用化に向けての動きを本格化している。
2025年に大阪で開催される日本国際博覧会を起点に「空飛ぶクルマ」の商用化の実現を見据えて、2023年にかけて実証プロジェクトが次々に立ち上がる。数多くのビジネスを展開する総合商社も、新しい「金脈」を狙って、相次いでプロジェクトに名乗りを上げている。
丸紅は2022年12月から、南海電鉄などとともに空飛ぶクルマのモニターツアーを実施する。大阪ヘリポートから和歌山県那智勝浦町の中ノ島までヘリコプターで往復するツアーで、現地の旅館に宿泊する。料金は1泊2日で8万9000円。料金のうち空飛ぶクルマを想定したヘリコプターの費用(往復)は約4万円だ。
通常、ヘリコプターで同じ距離を飛べば約34万円の料金になるという。丸紅航空宇宙・防衛事業部の吉川祐一課長は、「空飛ぶクルマが実現すれば、(同様の旅程が)今回のツアーくらいの料金で参加できることを一般のお客さんに実感してもらいたい」と話す。
空飛ぶクルマは「eVTOL」(Electronic Vertical Take-Off and Landing aircraft)とも言われ、人を乗せ、垂直に離着陸する電動の機体を指す。翼がついたタイプのもの、複数のローター(回転翼)で飛ぶものがあるが、どちらもパイロットや乗客が乗らないドローンと違い、法的には航空機に該当する。
2040年に世界の市場規模は200兆円超?
欧米では2010年ごろから開発が始まった。日本では2018年に国土交通省と経済産業省が立ち上げた「空の移動革命に向けた官民協議会」を中心に、実現に向けた議論を重ねてきた。
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